「東京へ新幹線通勤」編

 敷地3000坪の雑木林の中に暮らす伊藤さんは、13年前に奥様と一緒に千葉県から移住。現在、3人のお子さんとの5人暮らし、那須塩原駅から東北新幹線を使い東京へ通勤しています。
 ハンググライダーやカヌー、山登りといったアクティブな趣味に加え、野菜や米づくりにも挑戦。また、地元消防団に加入するなど自治会活動にも積極的に参加しています。休日に、愛犬とくつろぐ伊藤さんにお話を伺いました。

■都会生活から、めざして飛んだ憧れの那須へ  筑波山から100キロメートルを飛ぶルート、サーマルという温かい上昇気流を乗り継ぎながらめざす憧れの場所…。以前、ハンググライダーでよくこの辺りを飛んでいました。林がいっぱいあって空気もいい那須を空から見て、ここに住もうと決めました。
 それまでゴミゴミした千葉の社宅にいたので、広々とした土地が欲しかった。それも雑木林がいいな、と。林と共生するくらいの暮らしがしたいと思ったんです。
 長距離通勤に違和感はなかったですね。千葉に住んでいた時と通勤時間はあまり変わらないんです。那須塩原駅まで車で約30分。新幹線に乗れば確実に座れるし、寝て行けます。


■仲間や友人と出会い、子どもたちはのびのびと  地元の消防団に参加しています。消防団の仲間を通して地域のいろいろなことを知ることができます。那須の人はみんな良い人ばかり。外から来た私たち家族を快く受け入れてくれています。もともと開拓の人が多い土地柄で、昔からそうなんでしょうね。
 妻もここで知り合った友人と一緒に、ピアノを演奏したり演奏会に出かけたりと、趣味の音楽を楽しんでいます。
 3人の子どもたちは、それぞれ小学6年生、小学4年生と幼稚園。自然の中でのびのび成長しています。子どもは野生児になりますね(笑)。うちはゲーム禁止で食事時はテレビも見ません。よく「ひと昔前の子どもだね」と言われますが、この辺の子どもたちは結構そういう感じですよ。子どもらしい匂いがするというか、子どもにとっての良さが今もいっぱい残っている土地なんだと思います。


■五感で四季を感じられる暮らしは素晴らしい  ここに住んで良かったと思うことは、生活の中で四季がわかるようになったことです。文字でしか知らなかった新緑や紅葉の自然の香りや音を感じて、日本の四季というものがやっと理解できました。いつも次の季節を楽しみにして暮らしています。
 寒い冬も薪ストーブのお陰で楽しい。薪は自分の土地で時々間引く木で間に合います。10年後とか15年後を想定して間伐します。どの木を切ればいいか、どの木が育つか、だんだん分かって来ました。長いスパンで自然に勉強させてもらってるんです。
 野菜とキウイやプラムといった果実は自分のところで作っていますが、最近地元の人の好意で米づくりを始めました。合鴨農法に挑戦したのですが、これは面白かったですね。子どもたちも大喜びでした。
 何でも自分で作りたくなります。庭にある子どもの遊具も手づくりだけど、大人が遊んでも楽しいですよ。「ツリーハウスを作ろう」というのが目下の目標です。
 外の景色を眺め癒される毎日。特別なことではないけれど、林と一緒に暮らす生活は、それだけで充分なんです。

@M/薪ストーブの薪は敷地内の間伐材で賄う
AEIJ/子どもたちは外で遊ぶのが大好き(伊藤さん提供)
B/伊藤さん宅
C/稲刈りのお手伝い(伊藤さん提供)
D/手づくりの遊具で近所の子どもたちも一緒に遊ぶ
  (伊藤さん提供)
F/奥様の趣味のピアノ
G/自ら飛んで撮影した自宅と敷地の空撮写真(伊藤さん提供)
H/冬は家の回りも銀世界
K/合鴨農法で米にも挑戦(伊藤さん提供)
L/ワンちゃんと一緒にピース