とちぎ暮らし体験記その3

「文化交流のある暮らし」編

 「益子はただの田舎じゃない、ここには文化・芸術があるのです」と話すのは、千葉から移住された岡田さんご夫妻。益子の名だたる陶芸家や海外から陶芸を学びにやって来た外国人、地元の音楽家、画家などとの交流が生まれ、お互いに行き来を楽しんでいるとのこと。
  現役で獣医さんを続けているご主人と地域のボランテイアやお得意の料理づくりを通した交流を楽しまれている奥様に、日だまりのご自宅でお話を伺いました。

■競馬の獣医師として東京や千葉に通う  今はもう千葉の家を手放したのですが、1年前までは千葉と益子を行ったり来たりしながらの生活でした。
  東京都職員として33年間勤め、7年前に定年と同時にここに家を建てたのですが、大井競馬場や船橋競馬場の獣医師としての勤めは続いているので、今も年間30週ほど競馬の開催時に仕事に出かけています。
  でも、そろそろこの仕事も辞めようかと。そうしたら、こちらで開業届を出して、家庭の犬や猫を診る往診専門医をしたいと思っています。犬を飼っていても、なかなか動物病院まで出かけられないお年寄りもいるでしょうから。
  この土地は、この町に住む親戚に探してもらいました。道路やライフラインがきちんと整備されている。山の向うに日が沈むこの景観も一目見て気に入りました。今では誰が何と言おうと、「ここは益子で一番良いところ」と思っています。


■文化がぎゅっと詰まっている益子の町  この町では知り合いがいっぱい出来て、近所の人たちや陶芸家とも交流しながら楽しくやっています。
  益子は、「外人でも何でも風呂敷ひとつで来て、本人のやる気さえあればやっていけるところ」って言われるけど、私たちもそれを信じてここに来ました。それは大当たりでしたよ。
  益子はただの田舎じゃあない。ここには文化や芸術があって、いろいろな人がやってきます。たくさんのギャラリーは見飽きないし、ウィーンフィルの音楽会なども開催される。そして、芸術家たちと親しく交流できるんです。東京ではそんなこと絶対に出来ませんからね。…益子はすごい所です。
  世界で「MASHIKO」と言えば陶芸の代名詞。外国から陶芸を学びに来ている人も多いんです。すぐ近所にもアメリカ人の陶芸家が住んでいますよ。


■夫はゴルフ、妻は山歩き…夫婦それぞれの楽しみ  私は月2回くらいゴルフをします。東京の仲間をこちらに呼んで、帰りに益子焼をおみやげにするんですが、みんなとても喜んでくれます。いつか、自分の年でまわる「エイジシュート」が目標なんです。
  家内は千葉で10年くらい山歩きをしていたんですけど、こちらでも地元の人たちと出かけています。近くに三登谷山(みつとやさん)や雨巻山(あままきさん)という山があって、雨巻山は標高533メートル、益子で一番高い山です。ロケーションがすごく良くて、山頂からの景色は最高です。
  また、「みつとや会」という地域グループに参加し、里山をきれいにしようという活動に取り組んでいます。近くの大羽川のゴミ拾いをしたり、あちこちにお年寄りの休憩や学童のバス待ち用にベンチを置いたり…。メンバーには、地元農家の人や陶芸家、画家、ペンションの人もいます。ここは、そうしたさまざまな人たちが交流し合って暮らしている所なんです。

@/日当たりのいい縁側で愛犬と
A/作り方の指導もされる幸子さんお手製の花寿司
B/玄関の戸を開ければ、一目惚れした風景が広がる
C/小高い丘の上に立つ家
DF/愛犬に子犬が生まれた
E/多才な幸子さんの趣味のひとつ絵手紙
G/友人たちが集う気持ちのいいデッキ