期待の水稲新品種「とちぎの星」について

 実りの秋を迎えていますが、今年の夏は「暑かった」ですね。異常気象や地球温暖化などと騒がれていますが、それらを身近に体感した夏でした。

 さて、お米の世界ではこの高温によって、病害虫が増えたり、お米が小粒化して収量が減少したり、様々な悪影響を受けます。その中で最も深刻なのは、登熟期の高温で米粒が白濁する白未熟粒が発生し、品質が低下することです。

 栃木県農業試験場では、「あさひの夢」と比べて高温障害に強く、良食味の縞葉枯病耐病性品種とちぎの星」を育成しました。現在試作段階ですが、県中南部の縞葉枯病が心配される地域における良食味の品種としての普及を期待しています。

★★★★★★★★★  「とちぎの星」の特徴  ★★★★★★★★★

【生育および収量】

 
あさひの夢に比べて早熟で、早植栽培では出穂期は4日、成熟期は6日早く、普通植栽培では出穂期は7日、成熟期は6日早く、「中生の中」に属します。稈長は長く、穂長はやや短く、穂数は多く、草型は偏穂重型です。

 また、芒はやや多く、玄米はやや大粒です。なお、長稈で、稈の剛柔は中であることから、あさひの夢よりはやや倒伏しやすい特性があり、栽培に当たっては注意が必要です。

 収量は、早植栽培、普通植栽培ともにあさひの夢よりやや多く、玄米の外観品質は、あさひの夢と比べて優れます。玄米千粒重はあさひの夢より重く、粒厚分布はあさひの夢やコシヒカリよりも2.0mm以上の割合が多い品種です。

 
 
葉いもちの圃場抵抗性は「強」、
穂いもちの圃場抵抗性は「やや強」、白葉枯病圃場抵抗性は「やや強」で、縞葉枯病に「抵抗性」です。

 穂発芽性は「やや難」で、コシヒカリよりやや穂発芽し易いですが、あさひの夢と同程度と考えられます。障害型耐冷性は「強」で、コシヒカリより耐冷性はやや弱いのですが、あさひの夢よりは強いため県北部での栽培も可能です。

 高温登熟性は「強」です。

 イネは、登熟期に高温にあたると登熟性が低下し、胚乳部のデンプン粒に隙間ができ光が乱反射することで玄米が白濁し、白未熟粒となります。平成22年は登熟期が異常高温となって、あさひの夢では白未熟粒が多発生しましたが、「とちぎの星」ではみられませんでした。

【食味】

 玄米タンパク質含有率は、あさひの夢と同程度かやや低い傾向があります。また、食味は、軟らかく外観が優れ、あさひの夢よりも優れます。片親に良食味米「なすひかり」が入っていることから、「なすひかり」に近い食味を有しています。(「なすひかり」は2年連続食味ランキング特A)

【栽培上の留意点】

★ あさひの夢に比べて、稈が伸びやすく倒伏が懸念されるので、多肥栽培は控える必要があります。
 これまでの試験結果から、最適な施肥条件窒素成分量は早植栽培で基肥5kg/10a、穂肥は出穂前20日に3kg/10a程度、普通植栽培では基肥3kg/10a、穂肥は出穂前15日に3kg/10a程度と考えられます。なお、少肥栽培においても収量が低下しにくい傾向があります。

★ 穂発芽性はやや難ですが、コシヒカリよりは穂発芽し易く、また、胴割れを防止する観点からも、適期収穫に努めてください。

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

【今後の予定】
 平成24年は約37haの作付けがありました。平成25年は200ha、平成26年は1,000haを目標に作付けを拡大する予定です。

【問い合わせ先】
農業試験場 研究開発部 水稲研究室

電話:028-665-1241
メールnougyou-s@pref.tochigi.lg.jp

※ 栃木県農政部の情報は、「とちぎファーマーズチャレンジネット(http://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/)」や「栃木県農政部ツイッター(http://twitter.com/tochigi_nousei)」でも発信していますので、是非、ご利用ください。

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