「芝焼き」に代わる病害虫の防除方法について

◆はじめに

 一般的に「芝焼き」といわれる農道やあぜ等の枯れ草焼きは、冬の農村風景の一つとして昔から知られています。

 芝焼きは、越冬病害虫の防除を目的として行われるもので、県内においても、水稲の縞葉枯病や黄萎病を媒介する、ヒメトビウンカやツマグロヨコバイを防除するために、冬季に水田のあぜ等で芝焼きが行われてきました。

ヒメトビウンカ

 

 

 

 

 

 

 しかしながら、ウンカ類幼虫の越冬前密度は年によって変動しており、芝焼き実施の有無との間に関連性がみられません。そのため、現状では、芝焼きによる病害虫防除効果は判然としていません。

 加えて、芝焼きが原因と考えられる火事や死亡事故が、毎年数件発生しており、周辺住民からの苦情も寄せられています。さらに、平成23年3月以降は、東日本大震災による原発事故の影響もあり、飛散した放射性物質への懸念の声も聞かれます。

 

◆ 芝焼きに代わる病害虫防除法とは

 芝焼き以外の方法で、ヒメトビウンカ等の害虫を防除するためには、次の3つの方法を組み合わせて防除することが有効です。

①  縞葉枯病に抵抗性を持つ水稲品種を作付する

 
1980年代までは、縞葉枯病は県内における最重要病害の一つでしたが、「月の光」や「星の光」等の抵抗性品種を作付したことにより、1990年代には発生が少なくなりました(図)。

 しかし、最近では、県中南部を中心としてヒメトビウンカの保毒虫率や縞葉枯病の発生が増えています。その主な原因としては、近年コシヒカリ等の抵抗性を持たない品種の作付が増加したためと考えられます。 

図

 そこで登場するのが、「とちぎの星」です。

 「とちぎの星」は、栃木県農業試験場が育成した水稲の新しい品種で、縞葉枯病に抵抗性をもつとともに夏の高温に強く、食味も優れています

 県では、県中南部を中心に作付推進を図っており、平成24年度は県内の水田41.2haで作付されました。さらに、平成25年度は200ha、平成26年度には1,000haの作付拡大を計画しています。

 縞葉枯病害の発生が増えている県中南部では、「とちぎの星」を導入するようにしてください。

② 水田を適切に管理し、病害虫の発生を抑える

 ヒメトビウンカは、縞葉枯病を発病している再生稲株(ひこばえ)から吸汁することで、縞葉枯病ウイルスを取り込み保毒します。

 そのため、水稲の収穫後には速やかに秋耕を行い、ひこばえを土の中に埋め込むことでヒメトビウンカがウイルスを保毒することを防ぎましょう

 また、ヒメトビウンカが水田に入ることを防ぐことも重要です。

 畦畔等の雑草は、ヒメトビウンカ等の害虫を誘い込み、増殖や越冬の場所となるほか、ほ場で薬剤散布した時の避難場所となり得るため、夏から秋にかけて草刈りや除草剤の散布を行うことで、ほ場への病害虫の侵入を抑えましょう。

③  薬剤防除により害虫の発生を減らす

 水稲の育苗時に、ヒメトビウンカやツマグロヨコバイに適用のある箱施用剤を使用して、発生を減らしましょう。

 ただし、薬剤が効かないヒメトビウンカの発生が増えているため、縞葉枯病保毒虫率が高い地域(県中南部)においては、基本的に「とちぎの星」等の抵抗性品種を作付けをすることが最善です。

  さらに、縞葉枯病の発生が多い地域では、ヒメトビウンカの発生タイミングに合わせて、早植で6月下旬、普通植で7月上旬に本田での防除を行うと効果的です。

 ◆終わりに

 以上のように、「芝焼き」に代わるヒメトビウンカ等の防除方法には、様々なものがあります。

 縞葉枯病や黄萎病は多発すると、収量等に大きな影響を及ぼしますので、ここで紹介したような防除技術を組み合わせて、水稲のヒメトビウンカ等の適切な防除を行い、縞葉枯病等の発生を抑えましょう。

―――――――――――――――
経営技術課環境保全型農業担当
TEL:028-623-2285
FAX:028-623-2315
―――――――――――――――

※ 栃木県農政部の情報は、「とちぎファーマーズチャレンジネット(http://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/)」や「栃木県農政部ツイッター(http://twitter.com/tochigi_nousei)」でも発信していますので、是非、ご利用ください。

飼養衛生管理基準を守りましょう!

【はじめに】

 飼養衛生管理基準は、各農場において疾病の発生を予防するために守らなければならない大事な基準です。

 畜産農家の皆様には、既にこの基準を遵守した飼養管理を実践していただいているところですが、家畜保健衛生所では年に1回、畜産農家への立入調査を実施し、その遵守状況を確認するとともに、不十分な状況が見られれば助言・指導を行っています。

 今回、畜産農家の方が独自に取り組んでいる優良事例を御紹介しますので、参考にしてください。

  (写真は農林水産省ホームページより引用しました)

【取組事例】

事例1:衛生管理区域の設定

 病原体の侵入を防止するために、衛生的に管理する区域を衛生管理区域といいます。工事用パイロンやロープなどを使用し、他の区域と明確に区分しています。

 

工事用パイロンを用いて境界を設置     安価な材料(空ポリタンク及び虎ロープ)を
【牛飼養農場】                   用いて境界を設置【豚飼養農場】


事例2:衛生管理区域への病原体の持ち込み防止

 衛生管理区域や畜舎の出入口に消石灰帯、消毒槽を設置し、常に消毒が行えるようになっています。

  消石灰帯を設置【牛飼養農場】        水槽(汚れの除去用)と消毒槽を設置
※集卵ケースを改造し、消石灰を散布する                【豚飼養農場】
  器具として利用


事例3:野生動物等からの病原体の侵入防止

  畜舎に防鳥ネットを設置し、野鳥の侵入を防止しています。

 
 
カラス等の侵入防止のため、防鳥ネットを設置  鶏舎全体に防鳥ネットを設置【鶏飼養農場】
                    【牛飼養農場】  ※ファスナーの開閉により入退出ができる
                                 出入口を設置 
 
飼養衛生管理基準の優良事例については、農林水産省ホームページに掲載されていますので参考にしてください。

〈農林水産省ホームページ:家畜の飼養衛生管理に係る取組事例集〉
URL:http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_shiyou/pdf/jirei-2012.pdf


【最後に】

 飼養衛生管理基準は、畜産農家の皆様に最低限守っていただくべき基準です。

 個々の畜産農家において、本基準を遵守していただくことはもちろんですが、地域全体で取組むことにより、地域に家畜伝染病が侵入するリスクを軽減することもできますので、積極的な取組をお願いします。

 また、本基準に基づき衛生管理を実践することにより、家畜伝染病の発生予防とまん延防止のみならず、慢性疾病の予防、育成率や増体の向上など、経営面においても大きな効果が期待できます。

 畜産農家の皆様には、今後とも家畜保健衛生所等と連絡を密にしていただき、地域で連携して飼養衛生管理基準の遵守に取り組んでいただきますようお願いします。

※飼養衛生管理基準について不明な点がありましたら、最寄りの家畜保健衛生所にご相談ください。

県央家畜保健衛生所 宇都宮市平井出工業団地6-8
   電話:028-689-1200  FAX:028-689-1279

県南家畜保健衛生所 栃木市総社町1439-20
   電話:0282-27-3611  FAX:0282-27-4144

県北家畜保健衛生所 那須塩原市緑2-12-14
   電話:0287-36-0314  FAX:0287-37-4825

いちごパッケージの変遷と消費者の評価

 いちごがおいしい季節になりました。スーパーや直売所にもたくさんの県産いちごが並んでいます。
 
 ところで、このいちごのパッケージ、いつ頃から今の形になったのか?、皆さんご存じでしょうか。そこで今回は、いちごのパッケージがどのように変わってきたのかについてご紹介し、さらに消費者調査の結果から今後の方向について考えてみたいと思います。

 

いちごパッケージの変遷

 

 

昭和20年代から30年代前半
 いちごは木箱で出荷していました。(果実はイメージです)
 当時は、各農家が材木屋などから材料を調達し、自ら釘打ちをして箱を作っていたそうです。相当な手間ですね。

 

 

昭和30年代中頃から30年代後半→
 木箱から段ボールになりました。(果実はイメージです)
 500gの小箱が3つあるいは4つ入った形だったようです。

 

 

←昭和30年代後半以降
 段ボールから塩ビパックの導入が進みました。
 塩ビパック導入に際しては、アメリカの流通事例などを参考にしたといわれています。

 

 

綾小路きみまろさんの「あれから40年!」ではありませんが、それ以上の期間、今のレギュラーパックの形がほぼ続いています。

 

いちごパッケージリサーチ

 

 

 そこで、いちご研究所では、現在のレギュラーパックを含め、いろいろな容器がどのように消費者に評価されているのか、グループインタビューによるリサーチを行いました。

 

 (参考)グループインタビューは、司会者が出すテーマに対して、参加者が自由に話をしてもらう形式で行う調査です。
 アンケート調査と比べて、参加者の意見交換からより広く、多くの情報が得られるメリットがあります。

 

【いちごパックの評価】

 グループインタビュー調査では、県内に住む20代の女性5名、30代の女性6名、50・60代の女性5名の3つのグループの方にご協力いただき、それぞれ別の日に調査しました。

 評価の対象としたパッケージは、レギュラーパック(A)、平詰めパック(B)、フタ付きパック(C~E)、スタンドパック(F)、個別包装容器(G)の7種類です。

 

  • レギュラーパック(A)の評価
     レギュラーパックに対する評価は表のとおりでした。

  各年代の消費者とも、レギュラーパックに対して定番の安心感がある一方で、パックの持ち運びや扱い方に難点を感じていることが確認できました。

 ここでは、その他のパックに関する評価結果は割愛させて頂きますが、それぞれ要点をお伝えしますと、次のような特徴がありました。

  • 平詰めパック(B)・・・高級感を感じているが、割高な印象を受けている。
  • フタつきの容器(C~E)・・・持ち運びや扱い方の容易さで評価が高い。量と価格のバランスで評価が分かれた。
  • スタンドパック(F)・・ボリューム感とお買い得感が評価。家庭用として一定の需要はある。
  • 個別包装容器(G)・・・自分で買うイメージはない。販売対象はごく限られる。

 

【いちごパックの今後の方向】

 今回のリサーチ結果から、今後のいちご容器の方向性について考えてみました。

 現在のレギュラーパックは持ち運びや取り扱いの点で難点を感じているものの、量と価格の面で他の容器と比べて満足度が高いようです。

 レギュラーパックの容器代は、パック4円、フィルム4円の合計8円程度ですが、フタ付きの容器代は20円以上になり、消費者にとって割高なイメージとなっています。

 今後のパッケージを検討する際は、持ち運びの容易さとともに、パックコストの削減や収穫パック詰めの工程見直しなどによる、量と価格のバランスがとれた方法を考えていく必要があると思われます(ポジショニングマップ点線内部がその条件に相当します

   

 

   これからの展開としては、業界内外の知恵やアイディアを得ながら、容器のプロトタイプを作り、グループインタビューなどの方法により消費者のストライクゾーンを絞っていくことが重要と考えられます。

   果物のマーケットは全般的に縮小傾向にありますが、「変化する消費者心理を掴みながら、より良いものを常に追求・提案していくことが、業界の活性化や発展につながっていく」と考えます。

 

【問い合わせ先】
農業試験場いちご研究所 TEL:0282-27-2715  FAX:0282-27-8462
いちご研究所HP : http://www.pref.tochigi.lg.jp/g61/ichigo-kenkyusyo.html
メールアドレス    : 
nogyo-s-ichigo@pref.tochigi.lg.jp

一年の計は1月にあり(一年の計は元旦にあり)

 多くの農業経営では、決算期が12月末となっており、1月には新たな会計期を迎えます。そのため、1月(正月休み等)は、年間の栽培技術の反省及び資金運用面での計画作りを考えるよい時期になっています。こうしたことは、決算期でなければなかなか見ようとはしないことなので、1月は経営改善のチャンスの月です。1年の計、1月に考えて見ませんか。

<①決算書を経営改善に活用する>
  青色申告者の多くは、決算書を税の確定申告に使うのみである場合が多いかと思います。しかし、実は決算書こそが、経営の反省や計画づくりに役立つのです。
  認定農業者であれば、認定申請書の5か年計画(経営改善計画書)を作成し、目標規模、目標収入等の数値化ができているので、目標に達するための反省と課題を専従者(家族)等で決算書を見ながら話し合うことができると思います。

<②技術改善計画の立て方>
 決算書を見て、数字から経営の弱点をみつけましょう。年間出荷量及び販売額で見ることが出来ます。また、月別の等級別出荷量及び販売額の集計を出すことによりさらに技術の弱点が見えてきます。自分で集計していなければ、お金がかかるかも知れませんが農協生産部会担当者に頼み、月別集計表を出してもらうなどの手法もあります。そこで、自分の単収、平均単価を見て、昨年度の自分と比較し、今年の技術改善策を立てましょう。

 もう一つは、部会平均や部会トップ層との比較により、技術改善を図るポイントを見つけ出しましょう。生産部会の総会で技術の反省を行っていますが、決算書を合わせてみることも重要です。

    売上高=生産量(販売量)×販売単価
            =(単収×規模)×販売単価

  ※ 売上高は、販売量に販売単価を乗じて算出されます。つまりは、販売量を増やすか販売単価を上げれば、売上高が伸びる。販売量は、単収を上げるか規模を増やすことで増える。

  経営の単収が低ければ、肥培管理や栽培管理(病害虫防除、作業効率)、手が回らなかった点を専従者(家族等)と話し合いましょう。また、販売単価であれば、優品率低下や出荷時期の遅れなど伝票(集計表)などから読み取り、改善策を出して取り組んでみましょう。

<③資金繰り計画の立て方>
 つぎは、資金繰り計画の見直しです。景気の低迷により、農産物価格が低下する中、資金繰りに苦しむ経営が出てきています。栽培計画がしっかりとしていても、資金繰りが計画的でない場合、思うように経営が改善しません。1年の始まりに、収支計画を立て、資金ショート(不足)を起こさないことが重要です。

  月毎に支出する費用と入金する売上高を昨年度の実績を踏まえ、作付規模を考えて予定を立てます。経営に使える現金、預金を出します。

 

  月毎に計算された合計は、必ずマイナスにならないことが重要で、実績などから立てた予定が年間収支でプラスであるのに、月毎では、マイナスになる月があるのであれば、短期借入金の借入れも考えることが必要です(借入金をする場合には、収入項目に借入金欄を設けて記入して下さい)。基本的に資材等支払日をかえることでマイナスがなくなるのであれば、資材等購入時に支払日を指定して購入するよう、購入先との交渉を考えましょう。

  また、借入金の返済額が大きく、単年の返済ができないのであれば、借入金の返済計画を見直すことを融資機関に相談しましょう。1年間に返済できる額がどのくらいなのか、また、返済月がいつならば資金ショート起こさないかを考えなくてはなりません。無理のない計画を立てることが重要です。

 今までは、返済できていたのに、,急に返済できなくなったという人の中には、自分がいくら借りているのか、どのような返済計画になっているのか把握していないケースが多いようです。借入金について把握していないところに、売上高が伸びないや売上高が減少してしまうと、返済が困難になってしまうのです。

 資金繰り計画が出来たら、計画よりも売上高を高く、支払い額を少なくするよう無理なく、努力していきましょう。絵に描いた餅にならないように。

<④計画を立てるにあたって>
  ワタミ取締役会長の渡邉美樹氏は、起業するにあたってや経営改善をするときに、経営目標とする数字に「日付」を付けて手帳に書いていたそうです(規格化された手帳も出ています。”夢をかなえる手帳”)。夢を達成するために、「いつ」までに達成する。その過程に「どんなこと」を「いつ」すると書いて、いつも見て行動していたそうです。
 経営者として成功している人の行動規範を参考に、まずは、経営を見直すことから始めて、夢を実現するための経営改善に取り組んでみませんか。
 是非、経営の目標をもって、経営改善に取り組んでください。

※参考
農林水産省では、平成24年5月より、経営改善計画に沿った経営改善を着実に進めるため、「新たな農業経営指標」を作成し、取組の自己チェックと経営データの簡易診断が行えるようになりました。(農林水産省省HP参照:http://www.maff.go.jp/j/ninaite/shihyo.html

 

あなたが作った「とちぎのいいもの」を首都圏に売込んでみませんか!!

 県では、販路開拓に意欲のある事業者・生産者の販売促進活動を支援しています。

 今回は、販路拡大の取組を支援する「とちぎのいいもの販売促進事業」のご紹介です。

 「プロ農家」のあなたが自信を持って作り出した、「とちぎのいいもの」を「首都圏に向けて」売り込んでみませんか?

これまでの状況と事例紹介】
 首都圏に新たな取引先を開拓したい!、商品開発は得意だけど、どうやって売っていけばいいのかわからない…、引き合いは多いけど、条件が合わなくて…。

 実際に売込むにあたっては、こんな悩みがでてくると思われます。

 そこで、栃木県東京事務所に「とちぎのいいもの」販売推進本部を設置し、首都圏等におけるマーケティングの最前線基地とすることとしました。
とちぎのいいものまるごと商談会の様子
 商品の売込みにあたっては、同本部の販売や流通の専門家がお手伝いします。

 売り込み先や方法などを相談し、百貨店、大手スーパー、レストラン、ホテル、卸・食品商社等への働きかけを行います。

 売り込んだ結果を踏まえ、商品のブラッシュアップに対しても助言を行います。

 昨年度から事業が開始され、これまで60事業者の286商品が登録されており、売込みを始めています。

 その結果、大手百貨店での商談が成立したり、有名レストランとの取引が始まった他、ネットショッピングの商品に採用されるなど、首都圏での販路開拓が始まっています。

【支援内容】
 販路開拓に対するサポートとしては、

  ① 個別商談の立会い・助言、現地調査対応等
  ② 全国規模の展示商談会への出展支援
  ③ 「とちぎのいいもの」まるごと商談会の開催(都内)
  ④ 百貨店・デパートの催事出展サポート
  ⑤ 通販、ネットショッピングへの出展サポート
  ⑥ 販路開拓に関する商品情報等のフィードバック       を行います。

【事業者及び商品の基準】
 県が支援する対象者は、県内の農業者または農業者が組織する団体で、首都圏に向けて販路を開拓しようとする意欲ある事業者としています。

 また、対象商品は、県内で生産、収穫された農産物であること、または県内で製造・加工された加工食品であり、首都圏に向けて安定した製造量や出荷量が確保されていることが条件となっています。

 応募の方法は、募集要領に基づいて、売込のターゲットや商品の魅力や背景、安全安心に対する取組などを記載した商品提案書を申込書と一緒に以下の問い合わせ先にある観光交流課へ提出し、商品登録します。

 登録された商品については、東京に設置された「とちぎのいいもの販売推進本部」担当者が、商品の特徴と事業者の販売の意向を踏まえながら、首都圏の有名百貨店、ホテル等への売込をお手伝いします。

 詳しくは→http://www.pref.tochigi.lg.jp/f05/iimono3.html


【問い合わせ先】
 栃木県農政部経済流通課マーケティング対策班     電話:028-623-2299
 又は産業労働観光部観光交流課とちぎ特産振興担当 電話:028-623-3307
 メール:tochiginoiimono@pref.tochigi.lg.jp
 ホームページ:http://www.pref.tochigi.lg.jp/f05/iimono3.htm

いちご新品種「スカイベリー」について

 いちご新品種「スカイベリー」の商標登録後初の出荷が12月6日に始まり、東京や県内のデパート、高級果実専門店などで試験販売が開始されましたが、皆様はご存知ですか?

 本県は収穫量44年連続1位の「いちご王国」。この座を不動のものとし、いちご生産者の所得向上を図るため、開発されたのが「スカイベリー」です。

【スカイベリーの特徴】
 この「スカイベリー」は10万株を超える株の中から選ばれた、果実が極めて大きく、収量性が高く、食味が良く、病気に強いなどの優れた特性を持った新品種です。

 ◆ 25g(3L)以上の大果の発生割合が67%を占める(とちおとめは18%)。
 ◆ 収量は「とちおとめ」よりも3割程度多い。 
 
 
 ◆ 糖度は「とちおとめ」に比べやや低いが、酸度とのバランスが良いため、食味は良い。 
 
 

 ◆ 炭そ病及び萎黄病に対する耐病性が「とちおとめ」より強い。 
 
 平成6年の「とちおとめ」の開発から数えると17年ぶりの、待望の新品種です。

 その優れた特性から、新たな需要を開拓し、生産者の皆さんの経営安定に必ず寄与すると期待されています。

【今年度の生産状況】
 今年度は、県内各地で58名の生産者の皆さんによって、約2.5ヘクタール栽培されています。

今年度の生産状況スカイベリーの栽培状況

 なお、昨年度の栽培を踏まえ、品質向上を図るため、定植時期を9月20日前後、出荷開始を12月上旬に統一した作型で栽培に取り組んでいますが、現在の生育は病害虫による大きな被害もなく、概ね順調に生育が進んでいます。 

【栽培上の課題】
 一部で果実の着色に関する課題があることから、さらなる安定した栽培技術の確立に向けて、現地検討会の開催や「いちご研究所」における試験研究などに取り組んでいます。
 
現地検討会の様子

【県単事業(ハード事業)】
 県では「スカイベリー」が施肥量や温度管理などで「とちおとめ」と異なる面があることから、生育環境を整えることができる高機能ハウスの整備を今年度事業化して支援をしています(新品種「栃木i27号」実証栽培支援事業)。

【苗の増殖】
 来年度に向けては、さらに面積を拡大するため苗の増殖を行っていますが、各JAフリー基地における増殖は概ね順調です。

 平成26年冬の本格出荷に向けて、栽培に必要な苗の供給体制を今後も整備していく予定です。

【販売に向けての取組】
ソフトパック 販売に目を向けますと、現在、都内の百貨店や高級果実専門店を中心にテストマーケティングを行っていますが、市場関係者からは食味に関しては概ね良い評価をいただいています。

□主な販売店における評価 
 店舗A:大果で食味が優れる
 店舗B:形、食味ともに良い 
 店舗C:外観、食味ともに概ね良い 

 なお、現在も「とちおとめ」より2~3割程度高値で取引されています。大玉率が高いことから単価も良くなっています。  

  
 今後も、テストマーケティングを継続し、関係者や消費者からの評価をいただくとともに、「とちまるショップ」をはじめ、様々な機会をとらえてPRをするなど、「スカイベリーブランド」を確立していく予定です。

お披露目イベント

【今後に向けて】
 こうした取組を通して、「スカイベリー」が「いちご王国とちぎ」を支える新たなスターに育つよう、今後とも生産者の皆さんや農業団体と一体となって取り組んでいく考えですので、来年度栽培に取り組む意欲がある方は下記までにお問い合わせください。

 

【問い合わせ先】
  生産振興課いちご野菜担当
    TEL:028-623-2328、FAX:028-623-2335
    メールアドレス seisan-sinko@pref.tochigi.lg.jp

  または、最寄りの各農業振興事務所まで

冬春トマト経営改善のヒント(最近の動きから)

   本県のトマトは、平成22年産農林水産省農業生産所得統計上で、初めて農業産出額100億円を達成するなど、全国に誇る産地に成長し、後継者・新規参入者も着実に増えてきています。
     トマトは健康ブームもあって単価が安定し、平成24年産も比較的高単価で推移しましたが、燃油や資材価格の高騰なども見据えて、さらに収益性を高めていくことが必要です。
 今回は、冬春トマトの経営改善のヒントを、最近の先進的事例から紹介しますので、参考にしてください。

 

 
   1  高軒高ハウス・直立誘引による高収益栽培

  
  単収を増やしていくために、最も効果が高いのが、高軒高ハウスと直立誘引栽培の導入です。

  • 県内では、平成14年度から国庫事業「輸入急増農産物対応特別対策事業」や「生産振興総合対策事業」、「強い農業づくり交付金」等を活用して、継続的に「低コスト耐候性ハウス」が導入されてきた結果、冬春トマト作付面積の約18%を占めるまで至っています。
  • これに伴い、既存作型を前進化させた「越冬長期作型」も導入され、周年出荷に向けた取り組みが進んでおり、今後もこの傾向に拍車がかかっていくものと思われます。

   【低コスト耐候性ハウスとは?】

(1) 耐候性

   ・風対策:風速50m/秒の耐風強度を持
      つ鉄骨ハウス
   ・雪対策:新雪50kg/㎡の積雪に耐えうる鉄骨ハウス

(2) 低コスト

   ・従来の方法でその地域で上記の耐候性を持つ鉄骨ハウスの本体工事をした場合の
  費用が70%であること。

平成24年産栽培事例の紹介
 ・栽培方法 定植苗:セル成型苗(本葉4~5枚)直接定植又は、3寸ポット苗幼苗定植
 ・定植時期 8月中旬~9月中旬
 ・収穫期間 10月下旬~翌年7月上旬
 ・平均反収 概ね20t(最多収量は30tを超える事例あり)
                ※既存ハウスの10a当たり平均収穫量は概ね13t~14t(概算)
 ・粗 収 益  10a当たり収量30t×kg単価(平成24年冬春トマト)382円=約11,460,000円

 

最近の取り組み紹介
 「既存ハウスの嵩上げによる栽培空間確保による長期どりへの取り組み」
すぐに低コスト耐候性ハウスを導入できない場合、既存ハウスを約60cm程度嵩上げ工事を行って、棚線の位置を高くし、栽培期間を長期化する取組も行われています
 ・工事費用は10a当たり200万円~230万円程度です。
・なお、嵩上げ工事は耐風速、耐震性が低下する懸念があるため、強い風が吹きやすい地域などでは、十分な注意が必要です。

 

2  炭酸ガス施用の効果

 

  • 炭酸ガスの施用については、既にいちごでは、広く取り組まれていますが、トマトにおいても、果実の肥大促進や軟弱徒長防止、光合成促進等の効果があることから、徐々に普及してきています。
  • 現在、栃木県業試験場野菜研究室では、炭酸ガスや他の要因を含めたトータル的な超多収技術の確立に向けて、試験研究を行っています。

 「県内における炭酸ガス発生器導入状況」
   ・普 及 率 高軒高ハウス(低コスト耐候性ハウス) 約50%の普及率(増加傾向)
                     既存ハウス                                             約10%の普及率(増加傾向)
   ・施用濃度  400ppm
   ・施用時間 早朝から昼前後
   ・施用効果 果実の肥大促進、軟弱徒長防止、光合成促進等
     ・主な導入機種
                   商品名:タンセラTC2000TFN 約17万円
                                     2000TS  約22万円
                   メーカー名:バリテック新潟
                      カロリー:20,000kcal

 CO2コントローラー利用で400ppm施用の場合1台で概ね300坪制御可能
  プロパンガス代は10a当たり、冬春トマトで約10~15万円前後
  栃木県内では4~5年前から概ね100台程度導入されています。

  

 

3  燃料高騰対策としてのヒートポンプの導入

  

 施設栽培では、原油価格の変動に大きく影響を受けない経営を行うためには、A重油を使用した温風暖房機ではなく、より経済性の高いヒートポンプの導入によりコスト低減が期待できます。

  • ヒートポンプは、暖房機としての省エネ効果のみならず、除湿機能や冷房機能により灰色かび病対策、草勢の確保にも効果があります。
  • また、低コスト耐候性ハウス導入に伴う「越冬長期作型」においては、定植時期が梅雨明け後の高温時期にあたるため、遮光カーテンとヒートポンプの冷房機能を併用することで、生育の安定確保、果実品質の向上にも有効であり、現在県内のトマト栽培では、5.7haで取り組まれています。

  「県内におけるヒートポンプ導入状況」
栽培農家導入面積  13ha
・トマト栽培農家導入面積   5.6ha(47台)

    一例として、300坪にヒートポンプ10馬力を2台導入すると、本体で約260万円(2台分)、搬入取付、配管工事で約50万円、電気工事で約90万円、合計400万円の初期投資が費用がかかります。

    A重油温風暖房機のみに比べ燃油費が約30~40%ぐらい下がるというデータもあります。

 

4  関連施設等導入に伴う支援策

    

  本県では、低コスト耐候性ハウスをはじめ、各種付帯施設導入に対して、国庫事業や県単補助事業による支援を行っています。

   予算規模の縮小や事業採択要検討等幾つか制約がありますが、導入希望がある場合は、最寄りの農業振興事務所又は各農業協同組合にご相談ください。

     【導入可能なメニュー】

 ・高軒高ハウス(低コスト耐候性ハウス)、高温抑制型温室(自動換気システム、循環扇を備えるハウス)、環境制御施設(日射、降雨、風力等の気象に応じ、施設内の温度条件、光条件、土壌条件、炭酸ガス濃度等の環境を複合的に制御するシステムを備えた施設:マキシマイザ-を含む)。
・付帯設備として、ヒートポンプ導入も可能ですが、単体での導入は不可となります。
・省エネルギー設備(木質ペレット暖房機)
・サプライチェ-ンの構築に関する施設
・広域流通システム構築のための施設整備 等

 

5  今後の経営発展に向けて

 

   平成12年産トマトにおいて、単価が235円/kgに落ち込み、経営危機を招いた事例がありましたが、その後、この時の経験を踏まえ、低コスト等に関する先進的な取り組みが県内各で取り組まれ、徐々に経営が安定化してきました。

 
     今回紹介したものは、その中で特に重要な取組です。他にも、最近は、「低段密植栽培」、「複合環境制御装置:マキシマイザー」の導入、「黄化葉巻病耐病性品種」の検討等の新たな取組も始まっています。
 

    平成24年産トマトは、過去に例のない高単価で販売されたことから、生産者の粗収益は大幅に増加しましたが、一方で、熊本県では増反の動きが活発で、今後、京浜市場への攻勢をさらに強めていくものと思われます。また、愛知県では本県の先進事例を参考に作期拡大による単収向上に取り組む動きも出てきており、産地間競争が激化していく可能性があります。
 

   今後、現在ある経営資産(ハウス等)を活かしながら、より効率的な経営の確立に向けて、高度な環境制御技術やコスト低減技術等を上手に活用し、さらなる収益性の向上を図り、足腰の強い魅力あるトマト経営の確立に向け取り組んでいきましょう。

 

【高収益トマト経営実現7・5プロジェクトの推進】
  目標の7とは! 「越冬作への転換」
                  →長期安定出荷を目的に、販売期間7ヶ月間を目指します。
                           「生産性の向上」
                            →10aあたり収量17tを目指します。
  目標の5とは! 「消費者に信頼される食味の向上」
                             → 食味を重視し、糖度5度以上のトマトの安定供給を目指します。
                          「収益力の向上」
                              →10aあたり販売金額550万円を達成します。

【問合せ先】
経営技術課技術指導班 電話028-623-2322 メール
agriinfo@pref.tochigi.lg.jp

※ 栃木県農政部の情報は、「とちぎファーマーズチャレンジネット(http://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/)」や「栃木県農政部ツイッター(http://twitter.com/tochigi_nousei)」でも発信していますので、是非、ご利用ください。

6次産業化の基本~マーケティング・リサーチについて

  道の駅の開業をきっかけに、ジェラート店を開業した県内のいちご農園に話を聴く機会がありました。いちご生産部門は経営主夫妻が、ジェラート部門は後継者が担当という部門担当制で6次産業化に取り組んでいます。

  今回は、この事例を元に、6次産業化に踏み出す前の「マーケティング・リサーチ」について考えてみたいと思います。

1 事例から見たマーケティング・リサーチとポイント

(1) 徹底した食べ歩き調査
 ジェラート部門を担当する後継者は、道の駅への出展を契機に、東京での仕事(ジェラートや農業とは異分野)を退職し、県内に戻ってきました。自らが責任者として事業を成功させなければならない立場となったとき、まず初めに行ったことは、「徹底的にジェラートについて調べる」(食べ歩く)ことでした。

 県内や近県の道の駅のジェラートはもちろん、民間企業のジェラートの食べ歩きから始め、東京で人気の店に行ってはメニューや価格、店の雰囲気などを調べて、自分なりにデータとしてとりまとめ、新たに開業する店のコンセプトや経営を考える材料としました。

[この調査のポイント]開店までの取組
 「自らの農園で採れた完熟いちごをメインに活用するジェラートを提供する」という基本路線があったとは言え、大手のジェラート企業と比較した場合、ブランド力、価格面などでは競争が難しいことや、たいていの「道の駅」にはジェラート店が併設されている昨今の状況など開業に向けた厳しい状況があります。

 しかし、この調査を行うことで、「ジェラート」という商品の「マーケット」にはどんな種類が、どんな価格で、どんな場面(店舗の立地条件や雰囲気など)で客に提供されているかを徹底的に調べ、自分なりに強みや弱み、ターゲットなどを分析することができました。
 さらに、調査を通じて、「どうしたら他のジェラート店とは違う価値を提供できる店になれるのか」について、自分なりの答え「顧客に満足感、ぜいたく感、ごほうび感を提供する素材へのこだわり」を導き出すことが出来ました。
 このように、他の商品との比較やマーケットの動向を知るためのマーケティング・リサーチは、結果として、自分が開業する際に何を強み(競争優位性)としていくかの方向性を明確に出来るという利点があります。

(2)目指す店での“修業”を通じた商品を磨き上げるノウハウ習得
 食べ歩き調査の中で、都内で気に入った店を見つけました。オーナー(店長)が“手作り”“味”“素材”に徹底的にこだわり、消費者とのふれあいを大切にするというコンセプトで人気を博していたところです。直接店を訪問するだけでなく、店長のブログを毎日確認し、自分でも同じような店にしたい、と強く思うようになりました。

 その後、その店の店長に「無給でもいいので働かせて欲しい」と直接交渉して、ほぼ初対面だったにもかかわらず、熱意に打たれた店長が仲間として迎え入れてくれることになりました。その店でのいわば修行期間中に、甘さ(多彩な糖の組み合わせ)や素材への徹底的なこだわり、メニュー化までの手順やノウハウなどを学びました。ここでは、ジェラートの技術を学ぶことはもちろんのこと、消費者とのふれあいの中から、どんなお客が、どんな思いで(何を期待して)ジェラートを注文するのか、ということ学び体験できたとのことです。

[この調査(体験)のポイント]
 飛び込みでお願いした“修業”で、実際に「素材にこだわった、ワンランク上のデザート」の製造技術を習得できたことが開業に向けて最も大きな成果ですが、マーケティングの観点でこの調査(体験)を見てみます。開発する商品の位置づけ模式図

 ここでは、客の反応を直接聞きながら、新しいメニューを次々と提供し、客の反応を見ながら改善しつつ、主力商品にしたり、場合によっては別のメニューに変えていく、という作業を繰り返し行いました。

 1の調査が「他の商品との比較」だったのに対し、この体験は「他の商品との比較ではなく、開発した商品そのもの評価」を毎日のように目の前で受けるということでした。新しいメニューを開発する際の「作り手の考え」と、実際に商品として提供したものを「味わったお客の反応」とが、どう一致(期待した通りの味)し、どうギャップがあるのか(思った味と違う)、満足してもらえたのかどうか、などをまさに「肌で体験」したことになります。

 このように、開発した商品を、ターゲットとする顧客に試食してもらい、良い点と悪い点を聞き取り改善に活かす(商品の良さを深めていく)、という手法のマーケティング・リサーチは、大手の食品企業でも「グループ・インタビュー」などとして、頻繁に活用されています。

 その後、この事例では、徹底的な調査と目指すスタイルのお店での体験を元に、ある程度決まっていた店舗のアウトラインについて、そのコンセプト、回転率、原価、必要な機材やショーケースなど、ほとんどすべてをゼロベースで再度練り直してから開店にこぎ着けました。
経営者として、自らが志すコンセプトで開業できたことは、高いモチベーションの維持にも繋がっているようで、現在、ほぼ計画通りの売り上げを上げているとのことです。

2 マーケティング・リサーチの手法
 1では、事例を中心に考えてみましたが、実際のマーケティング・リサーチには、目的に応じた様々な手法があります。ここで、いくつか紹介します。(マーケティング理論は様々なものがありますので、ここに挙げるのは、あくまでヒントとしてご覧ください。)

(1) 主に事業開始前(商品開発前)から行うリサーチ
 ア 事業機会(ビジネスチャンス)を探るための手法
  公開されている様々な統計などで、どんな商品の消費が増えているのか(減っているのか)など、全体的な傾向を把握することができます。
 (例)
「総務省統計局 家計調査」http://www.stat.go.jp/data/kakei/2.htm
  世帯ごとに、どんなものをどのくらい(金額や量)購入したのか、などを調べることができます。
「農林水産省 食糧需給表」http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/index.html
  主な品目別(農産物)に、1年間にどのくらい消費されているのか、などを調べることができます。
「総務省統計局 国勢調査」http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/index.htm
 どんな人が(性別、年齢など)がどのくらい住んでいるのか、世帯の所得別の分類などを調べることができます。
「各種専門紙(誌)」
 外食、食品加工など、それぞれの分野で専門の新聞や雑誌が刊行されており、トレンドや話題の技術などの情報を入手できます。
 他にも、通常購読している新聞や雑誌の関連記事の切り取り、マーケティングリサーチ会社が刊行している関連書籍、インターネットでの検索なども参考になる情報が得られます。

イ 開発しようとする商品を他者と比較する手法
 「観察」「アンケート」「聞き取り」「インターネット関連への出品」などによって、競合相手となる商品や、商品を購入する顧客層、どこが評価されているのか、などを明らかにするものです。
 事例では「飛び込みでの修業」がありましたが、他の実践者からも、関連する企業で一定期間アルバイトなどを行って、何がどう評価されて売れるのかを十分に学んだ、という声を聞くことがあり、その業界の内部に何らかの手法で入り込む、という手法もあるのかもしれません。

(2) 主に事業開始(商品開発、試作品開発)後のリサーチ
 ア 商談会やアンテナショップを利用する手法
 商品の特徴(製造法、こだわり)などを明確に記載(FCPシート(図参照)などを作成)して、様々な商談会やアンテナショップに出展(出品)して、バイヤーなどから評価を受けるものです。FCP
 この手法で、開発した商品が実際には他者にどのように映るのかを直接知ることが出来ると当時に、商品の良さがきちんと伝わっているか(伝え方に問題がないか)、などコミュニケーションのスキルについて気づくことが出来ること、また、求められる取引基準に対する過不足などを知ることが出来ます。

イ 直接、消費者(顧客)から聴き取る手法
  商品にアンケートを添付する、試食してアンケートに答えてもらう、「面接」や「グループインタビュー」などを行う、などを通じて、直接、商品のの良い点、悪い点などを明らかにするものです。

(3) 購入の動機等の原因や結果を探るリサーチ
 購入したきっかけ(何を見て、誰かに言われて、など)や、その他の条件(天候、気温など)など、何故売れたのかについて、インタビューやアンケート、関連データなどから明らかにするものです。
 これらのマーケティング・リサーチは、専門の会社に調査を委託することも可能です。しかしながら、新たに事業を起こそうという場合には、調査の過程で得られるノウハウや情報に触れること自体が、後々の事業展開に生かされることが多いようですので、自ら行う調査と、他者に委託する調査とをうまく組み合わせていくことが重要です。

3 まとめ
 マーケティング・リサーチは、現在、その商品を購入している人、今後、購入する可能性がある人(いわゆる市場)について、①どういう人(年代、性別など)が市場を構成しているか、②実際に買っているものは何か、③いつ購入しているか、④何が(誰が)購入のきっかけとなっているか、⑤何故買うのか、⑥どのようにして(どこで)買うのか、の情報を集めて分析して明らかにし、事業開始や商品開発に活かすものです。
 新しい事業は、データや理論の裏付けがあれば、必ず成功するというものではありません。
しかしながら、厳しい競争の中に踏み出して新しい事業(商品)を起こしていく、という場合には、その分野で何を強みとするのか、誰をターゲットに、どういう場面で買ってもらうのかを、徹底的に考えていく必要があります
 また、商品を売り込む際に、他の商品との比較を的確に説明することで購入する契機にしてもらえることも多く、逆に、すばらしい商品でも、良さの伝え方や売り方(場所や流通、説明方法)などが適していないために売り上げが伸び悩む場合も多いのも事実です。
 このようなことから、6次産業化の成功には、マーケティング・リサーチが必要不可欠であることは御理解いただけるかと思います。

(参考1)
日本政策金融公庫がH23年に実施した6次産業化に取り組む農業者約300を対象に行った調査によれば、6次産業化の今後の課題として以下が挙げられています。(下線は、マーケティング・リサーチに関連した項目です。)
http://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_111202_1.pdf

(抜粋)「今後の取組み課題で重要と考えるものについては、67.3 %が「商品の差別化・ブランド化」を挙げ、次いで「必要な人材の確保」が55.8%にのぼったほか、「円滑な資金調達」「マーケティングにもとづく商品開発」「販路拡大に向けた営業努力」が目立った。

(参考2)
 FCP(フード・コミュニケーション・プロジェクト)
 取引の際の製造工程の説明、開発した商品の商談会シート、などを、関係者が共通の様式で相互に活用するためのツールを開発するプロジェクト(活用ツールのダウンロード可)
 http://www.food-communication-project.jp/