水稲の放射性セシウム吸収抑制対策とカリのはたらき

 今回は、水稲の作付前のこの時期に、水稲の放射性セシウム吸収抑制のための対策についてご紹介します。

☆ カリは、どうして放射性セシウムの吸収抑制対策にいいの?

☆ カリは、たくさんやればやるほど効果あるの?

☆ いつやればいいの?

☆ どんな資材がいいの?

☆ 毎年やるの? 

  といった点について、復習も兼ねてひとつずつ見ていきましょう!

 

1 カリは、どうして放射性セシウムの吸収抑制対策にいいの?

  放射性セシウム(略してセシウムと呼びます)は、土の中で粘土鉱物といわれるものに強く結びついているものと、プラスの手(荷電)をひとつもった陽イオンとして土の中のマイナスの手(荷電)に結びついているものがあります。

  一方、植物の根は、カリウムイオンを取り込む部分を持っています。土壌中のカリが不足すると、プラスとマイナスで結びついているセシウムの一部は、この部分などから植物に取り込まれてしまいます。

  だから、土の中のカリが不足しないよう施用することが、放射性セシウムの吸収抑制対策に有効なのですなお、粘土鉱物に強く結びついたセシウムは、植物に吸収されることはありません。

 

2 たくさんやればやるほど効果あるの?

  目安以上にやっても効果は頭打ちとなります。

  水稲では、土壌中のカリが少ない場合、(独)農研機構(中央農研センター)で示している25mg/100g(土壌中のカリ濃度)を下回る場合は、放射性セシウムを吸収しやすくなることがわかっていますので、25mg/100g以上が目安になります。ただし、栃木県の平成24年産米のモニタリング検査で50Bq/kgを超えた地域では、更に高い35mg/100gを目標にします。

  なお、土壌分析ができない場合は、表1を参考に基肥で塩化カリを施用します。そして通常の三要素の施肥をします。 

表1 塩化カリ施用の考え方(10a当たり)

 

3 いつやればいいの?

  水稲の場合、基肥の時期の施用が、最も効果的です(図1)。

図1

図1 塩化カリの施肥時期による吸収抑制効果の比較 (平成25年1月福島県 農林水産省「放射性セシウム濃度の高い米が発生する要因とその対策について」)より転載

 

4 どんな資材がいいの?

  塩化カリ以外でも効果はありますが、塩化カリが最適です(図2)。

図2

図2 塩化カリとケイ酸カリの吸収抑制効果の比較

(平成25年1月福島県 農林水産省「放射性セシウム濃度の高い米が発生する要因とその対策について」)より転載

 

5 毎年やるの?

  施用されたカリは一年でほとんどなくなりますので、毎年施用する必要があります。将来、カリの施用量を減らしていくためにも、稲わらや堆肥のすき込みを併せて行いましょう。

 

終わりに

  今回は、カリに焦点をあてて、その重要性を確認しましたが、セシウム吸収抑制対策には、深耕や土づくりも重要です。総合的な対策で、セシウムの吸収を抑えましょう! 

参考:農業における放射性物質吸収抑制対策について(栃木県HP)
http://www.pref.tochigi.lg.jp/g04/kannkyou/kyuusyuuyokusei.html 

 

【問い合わせ先】

栃木県農業革新支援センター
(農政部経営技術課技術指導班)
TEL:028-623-2322
Mail:agriinfo@pref.tochigi.lg.jp