トマト黄化葉巻病はこうして防ぐ!!

 トマト黄化葉巻病(写真1)は、タバココナジラミ(写真2)が媒介するトマト黄化葉巻ウイルス(Tomato yellow leaf curl virus)の感染により起こるウイルス病で、栃木県では、平成17年度以降、継続した発生が見られ大きな問題となっています。

 写真1

 

 本病の発病後は開花しても結実しないことが多く、生育初期に感染すると収穫皆無となることもあります
 このように被害が大きい病害ですが、きちんと防除を行えば、発生を封じ込めることが可能です。

 

【防除の考え方】

 黄化葉巻病の伝染、及び主な感染経路と防除対策について、下図に示しました。

 タバココナジラミは、野外では越冬できないため、施設内で越冬しています。そして、気温の上昇とともに施設外に飛散し、野外のトマトや雑草等で増殖後、再び次作に施設内へ侵入するため、虫の発生は途切れることがありません。

 このため、虫とともに黄化葉巻病の発生は継続してしまいます。

図1

 黄化葉巻病は一度発病すると回復しないため、伝染源となる発病株の抜取り処分と、媒介虫(タバココナジラミ)の防除が必要です。

 

①薬剤防除

 薬剤散布の際には、下表を参考に薬剤を選定し、ローテーション散布を行ってください。育苗期から定植時にネオニコチノイド系の粒剤を使用した場合、定植後はそれ以外の系統の薬剤を散布しましょう。

表1

 

 上記の防除対策に加え、今の時期、特に重要となるのが、「施設内のタバココナジラミを野外に逃がさない」対策です。

 

②防虫ネットや黄色粘着版による防除

 防虫ネット等を設置し、施設内のタバココナジラミが野外に逃げることを防ぐとともに、黄色粘着板によってタバココナジラミを捕殺しましょう。

 

③蒸し込み

虫の飛散を防ぐためには、冬春(越冬)トマト栽培終了時に、ハウスを閉め切り高温とする蒸し込みを行い、施設内の虫を死滅させることが非常に有効です。
写真3

 

 防除対策を徹底することで、病害を発生させないようにしましょう!!

 

※ 農業環境指導センターHPでは、病害虫の発生予報、各種病害虫の薬剤感受性検定結果、病害虫天敵図鑑等、各種病害虫情報を随時公開しています。
農業環境指導センターHP http://www.jppn.ne.jp/tochigi/

 

【問い合わせ先】
栃木県農業環境指導センター
電話028-626-3086
メールnougyou-ksc@pref.tochigi.lg.jp

 

凍霜害を受けた「なし園」の今年の収穫や来年の生産回復へ向けた対策

 本年4月中・下旬の凍霜害により、県北・県央地域を中心として、なしに甚大な被害が発生し、着果不良園が数多く見られます。
 これら着果不良園における今年の収穫や来年の生産回復に向けた対策として、①病害虫防除の徹底による樹体維持、②新梢管理による来年産に向けた花芽の確保が急務となります。以下、それらの対策を詳しくまとめましたので、必ず実践しましょう。

1 病害虫防除の徹底による樹体維持
(1)黒星病対策
 黒星病は、なしの重要病害であり、多発すると果実の裂果や落葉につながります。特に、着果が不足する園では、黒星病が果実に発病しないよう注意しましょう。(写真1-3)

 発生経路(図)は、春から秋まで果実や葉で発病を繰り返し、主に1年枝の花芽で越冬します。秋に発病した落葉上でも越冬し、年間を通してほ場内で循環するので、耕種的防除を含めた防除が重要です。

 写真1
写真1 果こう・葉柄に発病

写真2
写真2 葉全体に発病

写真3
写真3 果実に発病すると裂果することもある

<発生しやすい条件>
 ① りん片脱落期から開花期前後に芽基部病斑が多いと多発傾向になります。
 ②生育期間をとおして、気温が10℃~20℃で降雨が続く場合は多発傾向になります。
 ③枝、葉が過繁茂し、通風性の悪いほ場は発生しやすくなります。

<薬剤による防除>
 ①開花期前後に治療剤により徹底防除します
 ② 雨前の予防剤の散布と発病初期のDMI剤やQoI剤などの治療剤組合せにより効果的な防除を実施します。
 ③収穫後および休眠期の防除をを実施します。

※薬剤による防除については、使用基準を遵守します。

 


<耕種的防除>

 ①発病した葉・果実の園外への持ち出し
 本年は、摘果等で園内に入る日数が少なくなると思われますが、常にビニル袋を携帯し病斑を見つけ次第取り除き園外で処分します。
 ②過繁茂した新梢の間引き
 本年は樹体の着果負担が軽く、枝葉の過繁茂が想定されます。このことにより、薬剤が十分かからない場所ができ、黒星病が蔓延しやすくなります。そこで、新梢の整理を適正に行い、受光・通風の確保を行います。
 ③初冬期の落葉の処理
 黒星病は、落葉上でも越冬するので、落葉次第、集めて園外に持ち出すなど適正な処理を行いましょう。

(2)ハダニ類対策
 梅雨明け以降、盛夏期にかけて、高温・乾燥が続くと多発します。多発すると落葉し、残された果実の品質低下や花芽着生が抑制され、本年のみならず来年産にも大きなダメージとなりますので注意が必要です。

(3)今後の気候

図6

 上段:気温、下段:降水量の各階級の発生確率(%)
気象庁5月23日発表資料

 気温および降水量の3ヵ月予報を見ると、6月は降水量が多い見込みであることから、本年は黒星病に対し十分な注意が必要です。また、気温は7月・8月が平年並みから高く経過する見込みであることからハダニ類の発生か懸念されます。もし、発病が見られ始めたら、早期の対応が重要です。

 

 

 

2 新梢管理による平年産に向けた花芽の確保
(1)芽かき・摘心
 芽かきは、主枝・亜主枝のせん定跡などを対象に、密集して発生した新梢を1カ所当たり2~3本残して芽かきを行います。摘心は、下図を参考に結果枝上から発生した新梢を、先端付近を除き2~3葉を残し摘心します。結果枝基部の新梢は、必要に応じ誘引または摘心します。
図3

(2)予備枝および新梢誘引・環状剥皮
 予備枝等の誘引は、平年度の花芽着生促進と樹勢の適性維持を目的に6月下旬から7月上旬に行います。誘引に当たっては、新梢が棚面に対し45度となるよう行います。なお、誘引方向は、主枝・亜主枝と平行にすることにより、結果枝の受光態勢の悪化防止を図ります。

 なお、予備枝の先端付近に摘果ばさみを用いてリング状に傷を付ける(スコアリング)もあり、花芽の着生を促進させるには有効です。手間はかかりますが、誘引作業と併せて試してみてはいかがでしょうか。
  実施に当たって、予備枝の基部付近で行うと、せん定時に実施した部分から折れることがあるので注意しましょう。
 図5

 
 今回御説明した対策等を早期に実施することで、被害を最小限に抑制しましょう!

 <お問い合わせ先>
栃木県農政部
経営技術課技術指導班
TEL:028-623-2322
FAX:028-623-2315