エルニーニョ現象の発生に対する農作物技術対策

 

                       平成26年6月18日

経営技術課技術指導班

 

 気象庁から6月10日、今年の夏、エルニーニョ現象が発生する可能性が高くなる旨の発表があった。

 

 エルニーニョ現象発生時の夏(6~8月)の天候の特徴

 ○平均気温は、北日本、東日本及び西日本で低い傾向

 ○降水量は、北日本太平洋側と西日本日本海側で多い傾向

 ○日照時間は、北日本西日本太平洋側及び沖縄・奄美では少ない傾向

 

 今後、低温、長雨等の気象条件となる場合には、速やかに技術対策を実施する。

 

Ⅰ 作 物

 1 水 稲

  (1) 深水管理の実施

    稲が低温に弱い時期は、幼穂形成期(出穂前25日頃、早植コシヒカリで7月上旬)~減数分裂期(出穂前14~7日頃、早植コシヒカリで7月中~下旬)である。特に、減数分裂期に最低気温が17℃を下回ると不稔が発生し、減収の危険性が高まる。さらに、幼穂形成期、減数分裂期の両時期に低温に遭遇すると被害が助長される。

    このような場合は、幼穂形成期から減数分裂期にかけて深水管理を行い、水の保温効果により幼穂を低温から保護することが基本である。そのためには、畦畔を深水管理が可能な状態にしておく必要がある。

  (2) いもち病の防除

    天候不順時は、稲の軟弱生育といもち病の発病好適条件が重なり、発病による減収の危険性が高まる。間断かん水により稲体の窒素濃度を下げて稲体を硬くし、いもち病に対する抵抗性を高めるとともに、特に常発地域や箱施用剤を使用していない地域では、ほ場を良く見回り、早期発見・早期防除に努める。なお、いもち病の防除は、発生前の予防剤(粒剤)が効果的である。また、いもち病の発生源となる取置き苗は早急に処分する。 

 

 2 大 豆

 (1) 排水溝を整備する等、排水対策を徹底する。

 (2) 紫斑病やべと病(里のほほえみ)が発生しやすいため、開花期~子実肥大初期に登録のある薬剤を散布する。

 

 

 3  こんにゃく

   排水溝を整備する等、排水対策を徹底する。

 

Ⅱ 野 菜

  1  全般

 (1) 曇雨天時の葉かきや芽かき等は極力控え、これらの管理は晴天日の午前中に行い、夕方には傷口が乾くようにする。

   (2) 曇雨天日が長く続くと日照不足のため茎葉が徒長気味となり、生理的落果や病害多発の原因となりやすいため、古葉は早めに取り、風通しと日当たりを良くする。  

   (3) 降水量が多くなっていることから、湿害回避のため排水対策を実施する。

   (4) 予防散布を徹底すると同時に、かん水や追肥は多量に行わず、1回当たりの量を少なくして回数を多くする。

 

 2 いちご

 (1) 親株床ではかん水量の過不足が生じないよう、こまめに確認する。特に、高設育苗等では、かん水量の過剰による根傷みを起こさないよう注意する。

 (2) ランナーの発生が少ない場合は、揃った大きさの苗が確保できるまで採苗時期を遅らせる。

   (3) 育苗期には、定期的な葉かきやポット等の間隔を広げることにより、軟弱徒長を防止する。

   (4) 炭疽病、うどんこ病が発生しやすくなるので、予防的に防除を実施する。

 (5) スカイベリーでは、特に灰色かび病等の病害が発生しやすいため、登録のある薬剤のローテーション散布を予防的・定期的に行う。

 

3 トマト

  (1) 芽かきや誘引等の管理は、晴天日をねらい早めに実施する。

  (2) かん水は一回当たり多量に行わず、一回当たりの量を少なくして回数を多くする。

  (3) 不良果の果実は摘果を行い、株の負担を少なくする。

  (4) 灰色かび病、疫病等が発生しやすいため、それぞれに登録のある薬剤のローテーション散布を予防的・定期的に行う。

  (5) ハウス栽培は、保温に努め、適温を確保するとともに、敷わら等の除湿対策を実   施する。

 

  4 夏秋なす

   (1) 花への採光性を良くし風通りを良くするため、側枝かきや葉かきは早めに実施する。

   (2) 地温を確保するため、できるだけポリマルチングを行う。さらに、通路には敷わら等を行い、泥のはね上がりを防止する。

   (3) 誘引・整枝は晴天日をねらい早めに行う。

   (4) 病害が発生しやすくなるので、薬剤散布をローテーションで予防的・定期的に行う。

   (5) 小果(S~Mクラス)で収穫し、株の着果負担を軽くする。

  (6) ハウス栽培は、保温に努め、適温を確保するとともに、敷わら等の除湿対策を実   施する。

 

 5 夏秋きゅうり

   (1) きゅうりは浅根性で、滞水すると根が酸素不足になり生育が抑制されるので、特に排水対策を徹底する。

   (2) 花への採光性を良くし風通りを良くするため、側枝かきや葉かきは早めに実施する。

   (3) 地温を確保するため、できるだけポリマルチングを行う。さらに、通路には敷わら等を行い、泥のはね上がりを防止する。

   (4) うどんこ病、べと病、灰色かび病等が発生しやすいため、それぞれに登録のある薬剤のローテーション散布を予防的・定期的に行う。

   (5) 小果(S~Mクラス)で収穫し、株の着果負担を軽くする。

   (6) ハウス栽培は、保温に努め、適温を確保するとともに、敷わら等の除湿対策を実   施する。

 

  6 かぼちゃ

  (1)  敷わら等を行い、泥のはね上がりを防止する。

  (2)  玉直しと発砲スチロール敷きを行う。

  (3)  病害が発生しやすくなるので、薬剤散布をローテーションで予防的・定期的に行う。

 

 7 に  ら

   (1) 夏どりにらは雨よけとし、ハウス内への雨水の流入を防ぐ。

   (2) さび病、白絹病等が発生しやすいため、薬剤散布をローテーションで予防的・定期的に行う。

  (3) ハウス、トンネル栽培は、保温に努め、適温を確保するとともに、敷わら等の除   湿対策を実施する。

 

  8 ね  ぎ

  (1) 植付け溝への滞水を防止するため排水に留意する。

  (2) 土入れ・土寄せは、土が降雨後の加湿状態で行わない。

  (3) べと病、さび病、黒斑病等が発生しやすいため、それぞれに登録のある薬剤のローテーション散布を予防的・定期的に行う。

 

Ⅲ 果樹

 1 全般

  病害防除は、予防散布を基本とする。病害が発生した場合は、発生初期に治療剤を散布する。なお、降雨が続く場合は、少雨の時に薬剤散布を行う。

 ほ場内が湛水しないように、明きょ等により排水対策を行う。

 

 2 なし

 (1) 低温が続く場合は、黒星病の芽基部病斑が無いほ場でも、飛び込み等により発      病することがあるので、ほ場内をよく観察する。発病した葉や果実は取り除き、園外    で適正に処分する。

 (2)果実肥大は、抑制されることが懸念される。しか、過度の摘果は減収を招くので、  適正着果量の確保に努める。

 (3) 豊水では、みつ症等の果実生理障害の発生が懸念されるため、7月下旬まで2週間おきにカルシウム剤の散布を行う。

 (4) 幸水では、えき花芽着生が少ないことが懸念されることから、6月下旬から7月上旬に予備枝を含めて新梢が棚面に対して45°になるよう誘引する。

 

 3 ぶどう

 露地栽培は、病害の果房への伝染防止を目的に、摘粒後速やかに薬剤防除し、降雨前に袋掛けを行う。

 

 4 りんご

  (1) 褐斑病は、気温が20~25℃、多湿条件で多発しやすいので注意する。なお、発生の    多いほ場は、治療効果のある薬剤を散布する。

  (2) 例年病害の発生の多い園は、予防防除としてボルドー液散布が有効である。なお、散布直後に降雨があった場合は、薬害を生じるので注意する。

 

Ⅳ 花き

  1 花き全般

  (1) 草勢の維持

    必要に応じて葉面散布等で追肥を行うなど、適正な栽培管理に努め、草勢を維持す る。

 (2)  病害の防除

  低温・多湿により、灰色かび病、べと病、きく白さび病等の発生が助長されるので、発生状況に応じて薬剤散布を実施するとともに、感染源となるり病葉及びり病株を早期に処分する。また、施設栽培では、多湿にならないよう、施設内の空気循環や換気を行う。

 (3) 施設栽培における管理

   施設栽培では、曇雨天が続いた後の強光による葉焼けを防止するため、光量に応じてきめ細かく遮光資材を開閉する。

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