農業大学校でICTを活用した園芸施設の環境制御を行っています

本校では平成28年3月にJA全農とちぎ様からトマト高軒高ハウスを寄贈していただき、ハウス内の環境制御を行う、ICT「アグリネット」が整備され、トマトやいちごの栽培に活用しています。

アグリネットとは、モニタリングセンサー(写真1)が施設内の温度や湿度、照度、炭酸ガス濃度、飽差など様々な要素を測定し、それら情報をアグリネットクラウドコントローラー(写真2)を経由して、クラウド上でパソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末からリアルタイムでモニタリングできるシステムです。

さらに、それら端末から遠隔操作で、ハウスの窓やカーテン、暖房機を稼働させることもでき、ハウスに出向くことなく植物の好適環境に設定することができます。

 

(写真1)モニタリングセンター

 

(写真2)アグリネットクラウドコントローラー

 

このアグリネットは、栃木県小山市にあるトマト高軒高ハウス実証栽培施設「ゆめファーム全農」でも導入されており、本校の高軒高ハウスとデータ共有をしています。さらに、毎月1回、ゆめファーム全農職員と学生で相互検討会を行い、ICTを活用した最先端の栽培管理方法を学んでいます。

ゆめファーム全農職員との相互検討会

 

学生はアグリネットを自身のスマートフォンで閲覧できます

 

画面上でハウス内の環境データをリアルタイムでモニタリングできます

 

細かな環境制御を行うことで、順調に収穫できています

 

高軒高ハウス以外にも、トマトロックウールハウス、いちご高能率生産学習施設、いちご研修連棟ハウスの3棟のハウスにセンサーを導入しています。

スカイベリーを作付けしている高能率生産学習施設では、センサーから得られた情報をもとに、ハウス内の温度等を見直して設定することで、導入前よりも果実品質の向上に繋がっています。

 

本校では今後も農業分野におけるICT活用した教育を進めていきます。

 

スカイベリーハウス内のモニタリングセンサー

 

高い品質を維持することができています

 

※ 栃木県農政部の情報は、「とちぎファーマーズチャレンジネット(http://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/)」や「栃木県農政部ツイッター(http://twitter.com/tochigi_nousei)」でも発信していますので、是非、ご利用ください。

平成28年度とちぎスマート土地利用型農業研修会(第3回)を開催しました

栃木県では、ICTやロボット技術などの先進技術を活用した「スマート農業」を推進しています。

今回の研修会では、水稲の総労働時間に占める割合が高い「水管理」における省力化技術について、その開発状況と展望について理解を深めるため、「平成28年度とちぎスマート土地利用型農業研修会(第3回)」を3月8日(水)に栃木県庁東館4階講堂にて開催しました。

第1部は講演会です。

基調講演は、国立研究開発法人 農研機構 農村工学研究部門 水利システムユニット長の樽屋 啓之 様に「水管理の省力化技術について ~スマートな水管理とは?~」について、御講演をいただきました。
スマートフォンを使って圃場単位の水管理ができる遠隔・自動給排水システムの開発状況や、河川から支線水路までの広域水管理について説明がありました。

 

第2部は栃木県スマート土地利用型農業研究会(スマ“とち”研究会)に参画いただいている企業による展示交流会です。
展示団体の皆様をご紹介します。

  • クボタアグリサービス株式会社
  • 株式会社 関東甲信クボタ

「クボタ直線キープ田植機(GPS制御田植機)」
業界初の直進時自動操舵をアシストする「直進キープ機能」の紹介
簡単にまっすぐな田植えが出来ます。

「密播苗移植田植機」
苗箱数が減らせる栽培技術「密播苗移植」の紹介
簡単な調整と安価な部品の装着だけで密播苗移植が出来ます。

 

  • 株式会社 ヰセキ関東

「可変施肥田植機」
施肥量を自動でコントロールして稲を倒さない栽培技術の紹介

「先端農業について」
ICTに関する紹介

 

  • ヤンマーアグリジャパン株式会社 関東甲信カンパニー

「密苗」
水稲栽培の省力化・低コスト化に向け、現行栽培技術の改良で育苗、田植作業の省力化・低コスト化に大きな貢献ができる「密苗」技術の紹介

「GPSガイダンス」
トラクターや田植え機などに装着することにより、作業の正確性を高めたり、効率的な夜間作業を行うための支援など、効率化に役立つ「GPSガイダンスシステム」の紹介

 

  • 富士通株式会社

「食・農クラウドAkisai」
生産から経営、販売まで企業的農業経営を支援する「食・農クラウドAkisai」をはじめとするサービスについて、全国の利活用事例を含む最新の情報の紹介

 

  • 有限会社ドライテック

「鉄黒コート」
黒顔料と専用消石灰を利用した、水田湛水直播栽培用種籾コーティング材の紹介

 

  • 株式会社 ドコモCS栃木支店、ベジタリア株式会社

「Paddy Watch」
水田センサーの紹介
“水田のみえる化”
水温・水位をスマートフォンから遠隔監視が可能!
水回りの労力軽減へ!

「アグリノート」
圃場管理・営農記録サービスの紹介
“記憶から記録へ”
作業記録をスマホタブレットで投入!データをクラウド化!

 

交流会では活発な意見交換が行われました。

 

第3部は新技術実証フロンティア事業の成果発表です。

※「新技術実証フロンティア事業」は今年度から新たに県で実施している事業で新たな技術の実証を通して普及拡大を図る事業です。

実証成果について3名の農業者からそれぞれ事例発表をいただきました。

  • 渡辺 正行 様には「GPS等位置情報を活用した自動操舵田植機の実証について」を御発表いただきました。直進を自動制御することで、経験が浅い雇用者でも田植が可能であり、疲労感の軽減につながるとの紹介がありました。

 

  • 阿久津 裕史 様には「低コスト基肥と流し込みによる追肥を組み合わせた実証事例」について御発表いただきました。水稲の追肥作業は重労働ですが、水田に入ること無く追肥でき、追肥の時間が大幅に短縮できるため省力化になると紹介がありました。

 

  • 大朏 孝 様には「省力化技術(大区画化、密播疎植、流し込み施肥)の効果確認」について御発表いただきました。4枚の水田を約1haの一枚の水田にすることで作業時間の短縮を図るほか、密播疎植で、育苗労力・資材費の低減化を図り、流し込み施肥と合わせてコスト低減につながったとの紹介がありました。

 

県では、引き続き情報交換の場を設定していきます。
また、栃木県スマート土地利用型農業研究会(スマ“とち”研究会)では、随時会員を募集しておりますので、下記アドレスから内容を御確認いただき、是非、御入会ください(入会無料)。

栃木県スマート土地利用型農業研究会【入会者募集】http://www.pref.tochigi.lg.jp/g05/kouzou/smarttochikenkyukai.html

ICTを活用した分娩監視で乳牛の分娩に対応しました

栃木県農業大学校では、株式会社NTTドコモCS栃木支店様からICTを活用した遠隔監視システムの提供を受け、試用しています。

この装置は、親牛の膣内に機材を挿入して体温測定を行い、分娩が近づくと牛の体温が約1℃低下する原理を利用して、電子メールにより管理者へ分娩の兆候を教えてくれる装置です。また、分娩にあわせて胎子が体外に機材を押し出すため、測定した温度が急激に低下し、分娩が始まっていることも電子メールで教えてくれます。

挿入する部分を確認します。

 

斜め下から入れ、膣の奥まで入れます。

 

上手に留置させることができました。

 

 

本校の乳用牛の「ウミ」と「メイ」がともに平成29年2月15日に分娩予定のため、その前の2月8日に機材を設置しました。その後、「メイ」は平成29年2月11日(土曜日)、「ウミ」は2月13日(月曜日)に分娩しました。2頭とも雌の子牛で、メイの子は体重が37.5kgで「サツキ」、ウミの子は体重が47.5kgで「コハル」と名付けられました。

分娩に先立ち、体温が約1℃低下し分娩の兆候を知らせる電子メールが先生に届いたことから、当番の学生に分娩が近いことを伝え、分娩に備えてタオルや搾乳準備をするように指導しました。

その後、子牛が生まれる時に膣内に入れた機材が体外へ出てくると、再度電子メールが届き、無事に分娩に対応することができました。

本校では、今後も関係機関と協力し、ICTを活用した農業の推進とその教育に力を入れていきます。

 

産まれた直後の「サツキ」

 

 

初乳を与えたところ、勢いよく飲んでいました

 

 

飲み終わった後、立ち上がっていました

 

分娩したメイに、カルシウム剤を投与しました

 

 

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ICTを活用した多圃場営農管理システム研修会を開催しました

大規模土地利用型経営体は地域農業の担い手として多数のほ場を管理し、雇用労働力も活用しながら作物を生産する必要があります。
そこで芳賀農業振興事務所では、2月7日(火)、ほ場に関する各種情報を視覚的に管理し、生産管理者で情報を共有することができる「多圃場営農管理システム」に関する研修会を開催し、関係機関・団体から40名が参加しました。

講師には、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 農業技術革新工学研究センター 高度作業支援システム研究領域 高度情報化システムユニット長 吉田智一氏をお迎えして、「ICTを活用した多圃場営農管理~概要と展望」という演題で、氏が開発した「作業計画・管理支援システム(PMS)」の内容も盛り込みながらお話しいただきました。

 

「多圃場営農管理システム」では、パソコン上の地図に自分が耕作するほ場を手入力で図示し、面積、地権者、栽培作物、耕種概要、作業時間等を入力して整理することができます。情報を一括管理することで作業の進捗状況を容易に把握することができ、数年分の蓄積データを比較しながら次年度計画を作成することも可能となるので、生産工程が透明化されて経営内で迅速な情報共有が図られるとともに、情報管理に要する時間も少なくなります。

 

 

参加者は熱心に説明を聞き、入力作業に要する時間、PMSソフトの入手方法とサポート体制、導入の検討が必要な経営規模などについての質問も出ました。さらに、研修会終了後も吉田氏に質問する姿がみられ、本システムへの関心の高さがうかがえました。

 

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スマート農業とちぎ現地検討会を開催しました

栃木県では、先端技術を活用した試験研究成果について広く農業者、関係団体等に周知し、様々な関係者との交流等を目的とする現地検討会を開催しました。

今回の会場は、栃木県大塚町のいちごモデル施設(TIPファーム)です。
いちごモデル施設(TIPファーム)は平成27年に国の「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業」を活用して国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)により建設された施設です。1,080m2の3連棟高軒高ハウスには、高設栽培システム、複合環境制御装置、クラウン部温度制御装置、CO2供給装置、ドライミスト、LED電照等が装備されています。

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栃木県経営技術課の櫻井忠農業革新支援専門員に「いちごの生育状況と今後の栽培管理について」というテーマで、本県産いちごの推移や栽培様式の特徴などについて、わかりやすく説明いただきました。

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栃木県農業試験場いちご研究所の大橋隆特別研究員に、「半閉鎖型管理での先進技術と研究内容の紹介」というテーマで、日中での炭酸ガス施用やヒートポンプの利活用の重要性や液化天然ガスは灯油燃焼より収量が向上するがコスト面が課題であることなどについて、丁寧に説明いただきました。

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栃木県農業士でいちごモデル施設内のスカイベリーの管理をされている谷中克巳氏に、「半閉鎖型管理での先進技術を活用したいちご栽培について」というテーマで、摘果試験の手応えや紫外線の照射(UV-B)、LEDの有用性などについて、現場での経験を踏まえて説明いただきました。

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その後、いちごモデル施設内の装置について大橋隆特別研究員に説明いただきました。

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参加者から、「生産現場はなかなか見る機会がないため、大変参考になった」、「農業者の説明がわかりやすかった」など好評でした。また、いちご栽培志向者が熱心に谷中農業士にアドバイスを受けていました。

来年度も先端技術を公表するといった現地検討会を開催して参りますので、是非ご参加ください。

 

※ 栃木県農政部の情報は、「とちぎファーマーズチャレンジネット(http://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/)」や「栃木県農政部ツイッター(http://twitter.com/tochigi_nousei)」でも発信していますので、是非、ご利用ください。