農業分野における知的財産権の活用 その②(特許権編)

 (前回:農業分野における知的財産権の活用 その①(育成者権編)https://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/member/2012/12/20) 

 今回は、農業分野における知的財産権のうち「特許権」について御説明いたします。

「特許権」とは?
 
私たちの生活を将来にわたり豊かにしていくためには、新しい技術開発が継続的に行われ、どんどん社会に還元されるような流れが必要です。このため特許庁では、優れた技術(発明)を考え出した者に権利を与えて保護し、そのかわりに技術を一般公開し、次の新しい開発に役立ててもらおうという仕組みを管理しています。この発明を行った者に対して与えられる権利が「特許権」です。日本では現在、特許を出願した日から20年間にわたり、発明を独占的に利用することが認められています。

 
例えば「カボチャの空中栽培法(平05-341569)」と呼ばれる特許があります。北海道の民間会社(新生商事)が登録しているものですが、パイプハウスの骨組みを利用してカボチャを栽培し、実がなってつり下がっている様子がUFOのように見えることからネーミングされました(http://www.47news.jp/CN/200808/CN2008082801000485.html)。実が土と接触しないため、変形や傷みのない高品質なカボチャが収穫できるということです。こういうものが特許になるの?と思われるかもしれませんが、実は普段当たり前のようにやっていることでも、他者からみれば素晴らしい技術やアイディア、つまり知的な財産なのです。部会やグループで開発した新しい栽培技術などを特許化すれば、他者は真似のできない競争力の強いブランド化した生産物の販売につながります。このブログをきっかけに、特許化にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

特許が認められるためには
 
特許が認められるためには、1『考案された技術が“発明”であるかどうか』、2『特許を受けるに値する内容かどうか』が問われます。
 
 まず、考案された技術が「発明」であるかということに関してですが、以下の4点を満たしているかどうかが問われます。
 【発明として認められるための4点】
 
①自然の法則に従っているものであるか(占いの方法や、ゲームのルールなどはダ メ)
 ②
技術的思想であるか(他人に技術を伝達できること)
 
③単なる発見ではなく創意されたものであること
 
④技術的に高度なものであるか

 次に、特許を受けるに値する内容かどうかについて、以下のようなものであるかどうか等が審査されます。
 【特許を受けるに値するかどうかの視点】
 ①産業に利用できるものであるか(実験レベルのものではないこと)
 
②新しいものであるか
 
③容易に考案できるものではないか
 
④未だ誰も出願していないものであるか(日本は先願主義といって、早いもの勝ちです)

 余談ですが、植物の新品種開発は、日本では工業的な製品とは異なるということで、「育成者権」という権利に分けています。 

特許出願の流れ
 
特許を出願するには、特許庁に対して特許願、明細書など自分の発明の内容と、特許を請求する範囲などを説明するための資料を提出します。書類の作成は、弁理士と呼ばれる専門家にお願いします。

 出願にあたっては、他の者が類似した特許を出願しているかどうかや、既に論文等で発表されていないかといった、先行事例調査なども依頼することも必要となります。

 特許庁に対して書類を提出されますと、以下のように特許の登録までは少し複雑な経過をたどります(図1)。

   特許の登録までには多くの費用が必要となります。特許出願料や出願審査請求料に加え、登録後に必要な料金として、 ‘年金’と呼ばれる毎年の登録更新料が必要となります。

 【参考】登録に必要な産業財産権関係料金一覧(2012年4月1日以降)
 http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/hyou.htm 


特許権のメリット 
 
特許の利用を希望する企業等に利用の許諾を行うことで利用料を得ることができます。
 特許権を許諾することでどのようなことが可能となるかということですが、主に特許技術を利用した商品の宣伝や販売となります。発明者は、通常は許諾相手から販売額に応じて利用料を徴収できます。もちろん、自らが商品を販売し、他には利用させないということも可能です。


栃木県が取得した農業に関する特許の例
 
栃木県では、新品種の育成の他にも、農業試験場等で開発された技術のうち特に優れたものについては特許を登録しています。現在は5件の登録がありますが、その中から「いちご栽培装置(閉鎖型)」(特許第3841984号)をご紹介します(図2)。

 2本のパイプに不透根シートをたるませてU字状にかけ、そこにクリプトモス等を主とする培地を入れていちごを栽培するのですが、その外側にもう一枚、防湿性シートをたるませて不透根シートとの間に空気槽を設け、暖気用ダクトを通すという構造です。培養液の滴下にも工夫がしてあり、余剰な培養液を再度利用するような構造となっており、余剰液は極力出さないエコロジカルな栽培装置です。


~さいごに~ 
 
先ほどの、「カボチャの空中栽培法」の例などの一部は、「農林水産知的財産ネットワークポータルサイト」http://aff-chizai.jataff.jp/において検索することが可能です。特に、最近では農産物の加工法などの登録も散見されるようになってきましたので、6次産業化を考える際のヒントを得たり、あるいは実際に開発者から許諾を受けて加工品を商品化するなど、これからの展開に是非とも御利用されることをお勧めします。 特許について興味のある方は、県経営技術課又はもよりの農業振興事務所まで、お問い合わせください。

 【参考】平成24年度知的財産権制度説明会(初心者向け)テキスト(とても良い資料です。)
  http://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/text/h24_syosinsya.htm

 

<問い合わせ先>
農政部経営技術課(栃木県農産物知的財産権センター)
電話 028-623-2313 FAX028-623-2315 
メール agriinfo@pref.tochigi.lg.jp

農業大学校では、プロ農家の皆さんの農業経営向上を応援します!!

 今回は、農業大学校が実施している研修受講者の方の事例を御紹介します。農業大学校のプロの農業者の皆さん向けの研修は、先日ご紹介したとおり「食と農の起業家養成研修」「とちぎ農業ビジネススクール」があり、6次産業化や経営内容の向上を支援しています。

 今回は、実際に研修を受講し、経営に役立てている方の事例を紹介しますので、6次産業化や経営向上を考えているみなさんの参考にしていただければと思います。

<食と農の起業家養成研修受講事例>

 まず、最初に「食と農の起業家養成研修」を受講された君島玲子さんと山内亜紀子さん(那須塩原市)を御紹介します。

 「食と農の起業家養成研修」は、県内各地域で進められている「食の街道づくり」などの活動を支援するために、農村起業グループの方等を対象に、農村起業、各種施設の運営等に必要な知識と技術を習得するための研修です。図1

 君島さんと山内さんのお二人は、那須塩原市の「道の駅アグリパル塩原」の農村レストラン「関の里」の運営責任者です。お二人は、これまでもレストラン運営の中で,地域農産物に工夫を加えたメニュー作りに心がけてきました。

 そのような中で、更なるメニューの充実を考え、「食と農の起業家養成研修」の「地域特産物利用総菜加工」を受講されました。  

図2

「地域特産物利用総菜加工」では、とちぎ未来農業研究会会員で料理研究家の臼居芳美先生を講師にお招きし、文字通り本県の特産物を活用した数々の新しい料理レシピを提示頂き、実際に試作・試食しました。

図3

 

 君島さんと山内さんは、その中の一つ「大豆コロッケ」に興味を持ち、早速お店のメニューに追加してみたところ、お客さんから大好評となり、レストランのメニューが充実したとのことです。

 

 農村起業を目指す方やすでに運営されている方、また、農業の6次産業化を目指す方は是非本研修をご活用ください。
 


<とちぎ農業ビジネススクール受講事例>

 続いて、「とちぎ農業ビジネススクール」の修了生である鈴木将典さん(大田原市)を紹介します。

 とちぎ農業ビジネススクールは、経営者としての経営向上に向けた実践的研修で、22、23年度とも19名の方が修了され、現在県内各地で活躍されています。 図4

 鈴木将典さんは、大田原市で花と野菜の苗及び鉢花の園芸経営に携わっています。

 現在の経営主はお父さんですが、将来の経営継承に向けて、経営管理能力を身につけたいと考えていました。そんな中、平成22年度から始まった「とちぎ農業ビジネススクール」を23年度に受講されました。

 鈴木将典さんは、「研修では、実践可能な経営改革プランを策定できた。また、経営理念・方針を従業員と共有でき、組織としてまとまった。さらに、農業の発展という同じ目標を持つ県内各地の仲間とのつながりができて良かった。」とおっしゃっています。

 現在は、経営改革プランの実践に日々努力しています。これからの本県農業のけん引者としての御活躍が期待されます。

  現在の経営をステップアップさせたいとお考えの農業者の皆さんは,是非,ご活用ください。

  以上のように農業大学校では、次代を担う若手の育成に加えて、プロ農家の皆さんの新しい分野への進出や経営向上の取組をサポートして行きます! 

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問い合わせ先
栃木県農業大学校研修科
TEL:028-667-4944
FAX:028-667-4943
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りんどう新品種「るりおとめ」について

 昨年6月に、りんどう新品種「るりおとめ」の出荷が始まりましたが、皆様は御存知ですか?

 本県のりんどう栽培は、パイプハウスを利用した無加温半促成栽培による5月下旬からの早出し出荷が主力であり、全国一の早出し産地となっています。しかし、県内産地の極早生系統は、バラツキが大きく、生産性が低いことが大きな問題となっていました。採花期の様子

 そこで、県農業試験場では、半促成栽培に適した極早生系で、揃いの良いF1品種の育成に取り組み、平成21年に「リンドウ栃木1号」を開発しました。
 昨年の6月から「るりおとめ」(平成23年9月9日商標登録)として、本格出荷が行われており、市場からは花色が非常に良いなど高い評価を得ています。

【るりおとめの特徴】
 「るりおとめ」は、県内で栽培されている系統から選抜して組合せ検定を行い、その中から生まれた、品質や開花揃いが良い収益性の高いF1品種で、次のような特徴があります。

 ・極早生で、無加温半促成栽培では6月上旬から出荷可能。
 ・開花開始から頂花開花までの期間は5日以内と短く、揃いが良い。
 ・着花段数は平均7段と多く、市場出荷の最高規格である「90cm、6段以上」の割合が高い。
 ・茎が4mm以上と太く、草姿が良い。花色は、濃紫色で斑点が少ない。
 ・2年目以降の萌芽数は10本以上と多い。

るりおとめの特性

出荷体系

 こうした優れた特性が、りんどうの上位等級の出荷量を向上させ、生産者の皆さんの経営安定に役立つことが期待されています。

鮮やかな濃紫色の花色

 るりおとめ

【導入のメリット】
 「るりおとめ」は極早生系統ですので、半促成栽培では6月上旬から出荷が可能であり、
産のピークとなる8月以降に比べ、競合産地も少ないことから高値で取引されます。
 また、開花開始から頂花開花までの期間が5日以内と短く、揃いが良いので、効率的に出荷することができ、出荷調整しやすい利点があります。
 さらに、平均着花段数が多く、上位等級の割合が高まることに加え、2年目以降の萌芽数が多いことから、生産性の向上が期待されます。

【栽培のポイント】
 「るりおとめ」の肥培管理は、基本的に一般のりんどうと変わりませんので、特別な技術は必要とせずに栽培できます。
 ただし、潅水については、以前はりんどう栽培では、節間を伸ばし過ぎないように潅水量をある程度制限する管理が主流でしたが、これまでの概念にとらわれず、たっぷりと潅水してください。水田のように圃場全体に水を張っても問題ありません。
 また、一斉に開花するため、収穫時の労働力確保や収穫時期の分散が必要となります。

 【平成24年度の生産状況】
 平成24年度は、那須、塩谷地区で61a栽培されました。栽培風景

 面積

【半促成栽培について】
 1月上旬からパイプハウスの2重被覆で保温(無加温)することで、6月上旬に収穫が可能となります。早出しすることで、他産地(岩手県、長野県等)との競合を避けることができます。

〔半促成栽培での主な作業〕半促成ハウス
● パイプハウス設置(12月上旬までに)
● 残茎(枯れた茎・葉)の処理(12月中旬までに)
● マルチカット(12月中旬までに)
● 施肥(12月中旬までに)
● ビニール被覆(12月末までに) 

 

【今後に向けて】
 
今後は、「るりおとめ」の普及により、既存産地の活性化はもとより、県内全域を対象に新たなりんどう産地の育成に取り組み、栃木県の早出し産地としての確固たる地位を確立していきたいと考えています。

※るりおとめを栽培するにはとちぎ農産物マーケティング協会りんどう研究会への加入が必要になります。

連絡先
生産振興課 果樹花き担当 電話:028-623-2329

 

一年の計は1月にあり(一年の計は元旦にあり)

 多くの農業経営では、決算期が12月末となっており、1月には新たな会計期を迎えます。そのため、1月(正月休み等)は、年間の栽培技術の反省及び資金運用面での計画作りを考えるよい時期になっています。こうしたことは、決算期でなければなかなか見ようとはしないことなので、1月は経営改善のチャンスの月です。1年の計、1月に考えて見ませんか。

<①決算書を経営改善に活用する>
  青色申告者の多くは、決算書を税の確定申告に使うのみである場合が多いかと思います。しかし、実は決算書こそが、経営の反省や計画づくりに役立つのです。
  認定農業者であれば、認定申請書の5か年計画(経営改善計画書)を作成し、目標規模、目標収入等の数値化ができているので、目標に達するための反省と課題を専従者(家族)等で決算書を見ながら話し合うことができると思います。

<②技術改善計画の立て方>
 決算書を見て、数字から経営の弱点をみつけましょう。年間出荷量及び販売額で見ることが出来ます。また、月別の等級別出荷量及び販売額の集計を出すことによりさらに技術の弱点が見えてきます。自分で集計していなければ、お金がかかるかも知れませんが農協生産部会担当者に頼み、月別集計表を出してもらうなどの手法もあります。そこで、自分の単収、平均単価を見て、昨年度の自分と比較し、今年の技術改善策を立てましょう。

 もう一つは、部会平均や部会トップ層との比較により、技術改善を図るポイントを見つけ出しましょう。生産部会の総会で技術の反省を行っていますが、決算書を合わせてみることも重要です。

    売上高=生産量(販売量)×販売単価
            =(単収×規模)×販売単価

  ※ 売上高は、販売量に販売単価を乗じて算出されます。つまりは、販売量を増やすか販売単価を上げれば、売上高が伸びる。販売量は、単収を上げるか規模を増やすことで増える。

  経営の単収が低ければ、肥培管理や栽培管理(病害虫防除、作業効率)、手が回らなかった点を専従者(家族等)と話し合いましょう。また、販売単価であれば、優品率低下や出荷時期の遅れなど伝票(集計表)などから読み取り、改善策を出して取り組んでみましょう。

<③資金繰り計画の立て方>
 つぎは、資金繰り計画の見直しです。景気の低迷により、農産物価格が低下する中、資金繰りに苦しむ経営が出てきています。栽培計画がしっかりとしていても、資金繰りが計画的でない場合、思うように経営が改善しません。1年の始まりに、収支計画を立て、資金ショート(不足)を起こさないことが重要です。

  月毎に支出する費用と入金する売上高を昨年度の実績を踏まえ、作付規模を考えて予定を立てます。経営に使える現金、預金を出します。

 

  月毎に計算された合計は、必ずマイナスにならないことが重要で、実績などから立てた予定が年間収支でプラスであるのに、月毎では、マイナスになる月があるのであれば、短期借入金の借入れも考えることが必要です(借入金をする場合には、収入項目に借入金欄を設けて記入して下さい)。基本的に資材等支払日をかえることでマイナスがなくなるのであれば、資材等購入時に支払日を指定して購入するよう、購入先との交渉を考えましょう。

  また、借入金の返済額が大きく、単年の返済ができないのであれば、借入金の返済計画を見直すことを融資機関に相談しましょう。1年間に返済できる額がどのくらいなのか、また、返済月がいつならば資金ショート起こさないかを考えなくてはなりません。無理のない計画を立てることが重要です。

 今までは、返済できていたのに、,急に返済できなくなったという人の中には、自分がいくら借りているのか、どのような返済計画になっているのか把握していないケースが多いようです。借入金について把握していないところに、売上高が伸びないや売上高が減少してしまうと、返済が困難になってしまうのです。

 資金繰り計画が出来たら、計画よりも売上高を高く、支払い額を少なくするよう無理なく、努力していきましょう。絵に描いた餅にならないように。

<④計画を立てるにあたって>
  ワタミ取締役会長の渡邉美樹氏は、起業するにあたってや経営改善をするときに、経営目標とする数字に「日付」を付けて手帳に書いていたそうです(規格化された手帳も出ています。”夢をかなえる手帳”)。夢を達成するために、「いつ」までに達成する。その過程に「どんなこと」を「いつ」すると書いて、いつも見て行動していたそうです。
 経営者として成功している人の行動規範を参考に、まずは、経営を見直すことから始めて、夢を実現するための経営改善に取り組んでみませんか。
 是非、経営の目標をもって、経営改善に取り組んでください。

※参考
農林水産省では、平成24年5月より、経営改善計画に沿った経営改善を着実に進めるため、「新たな農業経営指標」を作成し、取組の自己チェックと経営データの簡易診断が行えるようになりました。(農林水産省省HP参照:http://www.maff.go.jp/j/ninaite/shihyo.html

 

冬春トマト経営改善のヒント(最近の動きから)

   本県のトマトは、平成22年産農林水産省農業生産所得統計上で、初めて農業産出額100億円を達成するなど、全国に誇る産地に成長し、後継者・新規参入者も着実に増えてきています。
     トマトは健康ブームもあって単価が安定し、平成24年産も比較的高単価で推移しましたが、燃油や資材価格の高騰なども見据えて、さらに収益性を高めていくことが必要です。
 今回は、冬春トマトの経営改善のヒントを、最近の先進的事例から紹介しますので、参考にしてください。

 

 
   1  高軒高ハウス・直立誘引による高収益栽培

  
  単収を増やしていくために、最も効果が高いのが、高軒高ハウスと直立誘引栽培の導入です。

  • 県内では、平成14年度から国庫事業「輸入急増農産物対応特別対策事業」や「生産振興総合対策事業」、「強い農業づくり交付金」等を活用して、継続的に「低コスト耐候性ハウス」が導入されてきた結果、冬春トマト作付面積の約18%を占めるまで至っています。
  • これに伴い、既存作型を前進化させた「越冬長期作型」も導入され、周年出荷に向けた取り組みが進んでおり、今後もこの傾向に拍車がかかっていくものと思われます。

   【低コスト耐候性ハウスとは?】

(1) 耐候性

   ・風対策:風速50m/秒の耐風強度を持
      つ鉄骨ハウス
   ・雪対策:新雪50kg/㎡の積雪に耐えうる鉄骨ハウス

(2) 低コスト

   ・従来の方法でその地域で上記の耐候性を持つ鉄骨ハウスの本体工事をした場合の
  費用が70%であること。

平成24年産栽培事例の紹介
 ・栽培方法 定植苗:セル成型苗(本葉4~5枚)直接定植又は、3寸ポット苗幼苗定植
 ・定植時期 8月中旬~9月中旬
 ・収穫期間 10月下旬~翌年7月上旬
 ・平均反収 概ね20t(最多収量は30tを超える事例あり)
                ※既存ハウスの10a当たり平均収穫量は概ね13t~14t(概算)
 ・粗 収 益  10a当たり収量30t×kg単価(平成24年冬春トマト)382円=約11,460,000円

 

最近の取り組み紹介
 「既存ハウスの嵩上げによる栽培空間確保による長期どりへの取り組み」
すぐに低コスト耐候性ハウスを導入できない場合、既存ハウスを約60cm程度嵩上げ工事を行って、棚線の位置を高くし、栽培期間を長期化する取組も行われています
 ・工事費用は10a当たり200万円~230万円程度です。
・なお、嵩上げ工事は耐風速、耐震性が低下する懸念があるため、強い風が吹きやすい地域などでは、十分な注意が必要です。

 

2  炭酸ガス施用の効果

 

  • 炭酸ガスの施用については、既にいちごでは、広く取り組まれていますが、トマトにおいても、果実の肥大促進や軟弱徒長防止、光合成促進等の効果があることから、徐々に普及してきています。
  • 現在、栃木県業試験場野菜研究室では、炭酸ガスや他の要因を含めたトータル的な超多収技術の確立に向けて、試験研究を行っています。

 「県内における炭酸ガス発生器導入状況」
   ・普 及 率 高軒高ハウス(低コスト耐候性ハウス) 約50%の普及率(増加傾向)
                     既存ハウス                                             約10%の普及率(増加傾向)
   ・施用濃度  400ppm
   ・施用時間 早朝から昼前後
   ・施用効果 果実の肥大促進、軟弱徒長防止、光合成促進等
     ・主な導入機種
                   商品名:タンセラTC2000TFN 約17万円
                                     2000TS  約22万円
                   メーカー名:バリテック新潟
                      カロリー:20,000kcal

 CO2コントローラー利用で400ppm施用の場合1台で概ね300坪制御可能
  プロパンガス代は10a当たり、冬春トマトで約10~15万円前後
  栃木県内では4~5年前から概ね100台程度導入されています。

  

 

3  燃料高騰対策としてのヒートポンプの導入

  

 施設栽培では、原油価格の変動に大きく影響を受けない経営を行うためには、A重油を使用した温風暖房機ではなく、より経済性の高いヒートポンプの導入によりコスト低減が期待できます。

  • ヒートポンプは、暖房機としての省エネ効果のみならず、除湿機能や冷房機能により灰色かび病対策、草勢の確保にも効果があります。
  • また、低コスト耐候性ハウス導入に伴う「越冬長期作型」においては、定植時期が梅雨明け後の高温時期にあたるため、遮光カーテンとヒートポンプの冷房機能を併用することで、生育の安定確保、果実品質の向上にも有効であり、現在県内のトマト栽培では、5.7haで取り組まれています。

  「県内におけるヒートポンプ導入状況」
栽培農家導入面積  13ha
・トマト栽培農家導入面積   5.6ha(47台)

    一例として、300坪にヒートポンプ10馬力を2台導入すると、本体で約260万円(2台分)、搬入取付、配管工事で約50万円、電気工事で約90万円、合計400万円の初期投資が費用がかかります。

    A重油温風暖房機のみに比べ燃油費が約30~40%ぐらい下がるというデータもあります。

 

4  関連施設等導入に伴う支援策

    

  本県では、低コスト耐候性ハウスをはじめ、各種付帯施設導入に対して、国庫事業や県単補助事業による支援を行っています。

   予算規模の縮小や事業採択要検討等幾つか制約がありますが、導入希望がある場合は、最寄りの農業振興事務所又は各農業協同組合にご相談ください。

     【導入可能なメニュー】

 ・高軒高ハウス(低コスト耐候性ハウス)、高温抑制型温室(自動換気システム、循環扇を備えるハウス)、環境制御施設(日射、降雨、風力等の気象に応じ、施設内の温度条件、光条件、土壌条件、炭酸ガス濃度等の環境を複合的に制御するシステムを備えた施設:マキシマイザ-を含む)。
・付帯設備として、ヒートポンプ導入も可能ですが、単体での導入は不可となります。
・省エネルギー設備(木質ペレット暖房機)
・サプライチェ-ンの構築に関する施設
・広域流通システム構築のための施設整備 等

 

5  今後の経営発展に向けて

 

   平成12年産トマトにおいて、単価が235円/kgに落ち込み、経営危機を招いた事例がありましたが、その後、この時の経験を踏まえ、低コスト等に関する先進的な取り組みが県内各で取り組まれ、徐々に経営が安定化してきました。

 
     今回紹介したものは、その中で特に重要な取組です。他にも、最近は、「低段密植栽培」、「複合環境制御装置:マキシマイザー」の導入、「黄化葉巻病耐病性品種」の検討等の新たな取組も始まっています。
 

    平成24年産トマトは、過去に例のない高単価で販売されたことから、生産者の粗収益は大幅に増加しましたが、一方で、熊本県では増反の動きが活発で、今後、京浜市場への攻勢をさらに強めていくものと思われます。また、愛知県では本県の先進事例を参考に作期拡大による単収向上に取り組む動きも出てきており、産地間競争が激化していく可能性があります。
 

   今後、現在ある経営資産(ハウス等)を活かしながら、より効率的な経営の確立に向けて、高度な環境制御技術やコスト低減技術等を上手に活用し、さらなる収益性の向上を図り、足腰の強い魅力あるトマト経営の確立に向け取り組んでいきましょう。

 

【高収益トマト経営実現7・5プロジェクトの推進】
  目標の7とは! 「越冬作への転換」
                  →長期安定出荷を目的に、販売期間7ヶ月間を目指します。
                           「生産性の向上」
                            →10aあたり収量17tを目指します。
  目標の5とは! 「消費者に信頼される食味の向上」
                             → 食味を重視し、糖度5度以上のトマトの安定供給を目指します。
                          「収益力の向上」
                              →10aあたり販売金額550万円を達成します。

【問合せ先】
経営技術課技術指導班 電話028-623-2322 メール
agriinfo@pref.tochigi.lg.jp

※ 栃木県農政部の情報は、「とちぎファーマーズチャレンジネット(http://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/)」や「栃木県農政部ツイッター(http://twitter.com/tochigi_nousei)」でも発信していますので、是非、ご利用ください。

農業経営のステップアップのため、農業大学校の研修を活用しましょう!

 今回は農業大学校が実施しているプロの農業者の方等を対象とした各種研修について、紹介します。
 農業経営の向上を図るためには、高度な生産技術の習得はもちろんのこと、販路開拓・商品企画・6次産業化等についての知識・スキルを学ぶことが重要です。

 皆さんは、10年後の経営ビジョンをお持ちですか?そのビジョンに向かって、現在の経営は発展していますか?
 現在のように社会の変化が激しい中では、自分では現状を維持していると思っていても、実際には社会の流れに乗り遅れてしまっている場合もあります。

 「判断すること」、「決定すること」、その一つ一つが将来へ向けて経営発展していくためのターニングポイントなのです。経営向上・改善や自分自身のスキルアップのために、一歩踏み出してみることが重要です。

 以下に農業大学校が開催しているプロの農業者の方の更なる経営改善に役立つ研修を紹介しますので、ぜひ、この機会にスキルアップを図ってみてはいかがでしょうか?

 

<経営改善を目指す方のための「とちぎ農業ビジネススクール」>

 とちぎ農業ビジネススクールは、農業経営の改善を目指す方のための研修で、経営改革プランニング、経営者マインドセミナー及び経営スキルセミナーで構成されます。

 栃木県内にお住まいの農業者で、
①経営の高度化に強い意欲を持つ方
②生産力だけではなく需要に応じた商品作りや販路開拓を目指す方
③新たな農業経営を展開しようとする方
以上のような方等が対象です。

 講師は、全国ベースで活躍する著名な経営実践者や各専門家で構成されます。スクール後半には研修終了後の実践を前提に、各研修生の経営内容に応じた経営改革プランを作成します。

○開催期間:7月から翌年3月の20日間
○対象:経営の高度化を目指す本県在住の農業者で、農業従事経験がおおむね5年以上で40歳程度までの人
○定員:20名
○募集時期:5月頃(24年度は募集終了)

図1図2

 

 

 

 

http://www.nodai.pref.tochigi.lg.jp/Business.htm

 

<6次産業化(農産加工など)を目指す方は「食と農の起業家養成研修」>

「食の街道」づくりを支援するため、起業活動に必要な知識や技術を体系的に学習します。受講対象は、栃木県内にお住まいの農村起業グループの構成員または農業者です。 

H24の開講内容(24年度は募集終了)

表1

 http://www.nodai.pref.tochigi.lg.jp/SyokutoNou.htm

 他にも「農業機械研修」「とちぎ農業未来塾」などの研修がありますので、スキルアップを図りたい方や新しく分野を学びたい方は、お問い合わせください。

 

とちぎ農業ビジネススクール受講者の事例紹介>

 農大の研修を活用して多くの方が経営・生産・加工等のスキルの向上を図っています。その中の一人である高橋ゆかりさんを紹介します。

 高橋さんは、那須町で酪農経営に携わっています。良質な牛乳を活用したチーズは、農産物と一緒に幅広く料理に活用でき、周囲と連携しながら、地域活性化にも貢献できると考えたことが、この研修を受講するきっかけです。

 生産から財務、加工等の実践的な研修により高橋さんは、自分の家の経営や他の農産物の生産現場についての知見を深め、現在は、戦略的にチーズを中心とした加工品の生産・販売に取り組んでいます。

 皆さんも高橋さんのように、農大の研修を活用して、自分自身の能力向上や経営改善を考えてみてはいかがでしょうか?

 県は、プロの農業者の方々の経営力向上を支援します!

<問い合わせ先>
栃木県農業大学校教務部(研修担当)
TEL:028-667-4944
FAX:028-667-4943

 

農業分野における知的財産権の活用 その①(育成者権編)

 今回は、農業分野における知的財産権(育成者権)の概要と注意点、さらに知的財産権を活用した経営事例についてご紹介します。

 今後、これまで以上に、農業分野における知的財産権の重要性は増してくると考えられます。

 知的財産というと、皆さん自身が品種登録等の知的財産権を取得し、権利を守ることで経営向上を図るということが、まず思い浮かびがちですが、それだけではなく、知的財産権は全て法律で保護されているものなので、プロの農業経営者としては、他者の知的財産権を侵害しないようにしなければなりません

 知識のないまま、いつの間にか他者の権利を侵害してしまい、思わぬ損害を相手に与え、場合によっては刑事罰が科されることもあります。

 プロの農業者としては、知的財産権について充分な知識を持っていることが必要不可欠です。

 これから知的財産権(育成者権)について順を追って説明していきます。皆さんの農業経営・生産にお役立てください。 

知的財産の定義と種類

 知的財産とは、一般的に人間の知的、創造的な活動によって生み出された経済的に価値のある物やアイディアを指します。

 知的財産のうち、特許庁や農林水産省に登録を行うことによって、開発者の独占的な権利が認められるものは7つあります(図1)。

 この中で、農業分野に最も関係の深いものは「種苗法」により新品種の育成者に与えられる「育成者権」です。

図1

 

種苗法と品種登録について

 安定した農業生産を行い、均質な生産物を収穫して販売するためにも、優れた特性を持つ「品種」を選定し、信頼性の高い業者等から優良な種苗を手に入れることは極めて重要です。

 このため、「種苗法」という法律が、新品種の登録や種苗の流通を適正に管理するために存在します(引用資料①)。

 既存の品種よりも更に優れた特性を持つ品種を作り出すことは、農業を活性化することにつながるため、国では、品種育成者に「育成者権」という権利を与えています。

 これにより、我が国では昭和53年に品種登録制度が整備されて以来、2万を超える品種が登録されており、現在でも年間1000を超える品種登録出願が行われています(図2)。

 図2

 

 新品種として登録するためには、農林水産省所定の審査を受ける必要があります(引用資料②および③、表1)。

表1

 

 無事に審査が済めば、登録料を支払うことで植物なら25年間、樹木類なら30年間の間、育成者権が認められます(表2、図3)。

表2

図3

 

 「育成者権」を持つことで認められる行為も、種苗の生産、譲渡(販売)等と多岐にわたっており、優れた品種を開発すれば生産販売で儲かるだけでなく、ロイヤリティ(許諾料、利用料などのこと)を徴収することで、更に莫大な収益が見込めるわけです(表3)。

表3

 

種苗法の落とし穴

 しかし、種苗法という法律をよく知らないために起こる困った事案があります。

 皆さんが生産している種苗は、品種登録されたものでしょうか?

 そして、それは育成者権が有効な期間中のものでしょうか?

 もし該当する品種であれば、種苗から生産して生産物を販売する行為は認められていますが、許諾された内容によっては、余った苗や、生産終了後の株を勝手に他人に販売する行為は法律違反です。

 もちろん、種子についても同じです。

 実際に、インターネットを通じて、生産終了後の春に、無許可でいちごの苗を販売していた事例がありました。

 県では、農産物知的財産権センターがこのような行為を監視しており、販売者に対して種苗法の違反である説明を行い、販売を中止するよう警告しています。

 悪質な場合は、刑事罰も科せられますので、適正に生産を行いましょう(引用資料④)。

 

栃木県における知的財産権の活用事例

 栃木県内にも、生産者でありながら新品種育成を行い、育成者権を利活用して有利な経営を行っている方がいます。

 県では、農業分野において生産者が自ら知的財産権を取得し、経営の向上に結びつけた実績を評価して、平成20年から「栃木県農産物知的財産功績表彰」という事業を行っています。

 これまでに8件の表彰を行いましたが、特許権、商標権、育成者権など様々な知的財産権を生産者自らが取得され、ブランド化や販路拡大などに活用されています(表4)。

 表4

 

 このうちの一人、川村一徳(かわむらかずのり)さんをご紹介します。

 川村さんは日光市で(有)ジョルディ・カワムラ(引用資料⑤)を経営されています。

 川村さんは、ペチュニアの仲間であるカリブラコアの品種開発に取組み、平成15年に初めてオリジナル品種ティフォシーパープル及び同ブルーを品種登録出願し、花色や、草姿に優れ、栽培しやすい品種を開発し続けています。

 現在は、登録品種が11品種、出願公表中の品種が4品種あります(図4)。

図4

 最近では一般的になったこの花も、当時は珍しく、また、花色も多様であったことから市場性が高く認められ、日本でも有数の産地の形成に成功されました。

 先見の明があったことはもちろんのこと、ブランド化を図るため、品質管理を徹底して秀品のみを販売したり、ラベルやポップの作りにもこだわり、高級感をもたせるような商品に仕上げるなど経営感覚にも優れていたことが、高い評価につながりました。

 品種登録により自らの優位性を着実に確保しつつ生産販売を拡大したことで、売り上げも、平成23年度には100万鉢・1億4500万円を挙げるなど、カリブラコア生産の第一人者として活躍されています。

 最近では、イオンビームを利用した新しい突然変異育種にも取り組んでいるとのことで、新規な形質を持った商品性の高い新品種開発にも期待がかかります。

 

知的財産権の取得に向けて

 知的財産権を持つことは、競争優位性を確保して経営面で有利な立場に立てることはもちろんですが、それに加えて、最新の手法による新品種開発や、新たな市場の開拓にも挑戦するなど、経営を高度化する意欲を高めることにもつながるのではないでしょうか。

 品種登録は、決して楽なハードルではありませんが、過去にも優れた品種を篤農家が開発した例はたくさんあります。

 何よりも作物の特性を一番知っているのは、皆さんなのですから、個人でも、グループでも結構ですので、是非ともオリジナル品種の開発に取り組み、自らが育成者権を持った新品種の開発を行い、経営に取り入れてはいかがでしょうか

 県では、農産物に関する知的財産権の取得に関して、アドバイスを行う窓口を設けております。相談は無料ですので、お近くの農業振興事務所か経営技術課までお問い合わせください。 

<お問合せ先>
経営技術課 栃木県農産物知的財産権センター
電話:028-623-2313 FAX:028-623-2315 メール:agriinfo@pref.tochigi.lg.jp

<引用資料>
①種苗法(法務省のHPより) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H10/H10HO083.html
②農林水産省品種登録HP(登録品種に関する情報満載)  http://www.hinsyu.maff.go.jp/
③品種登録と育成者権(ブログ中で引用したパンフレットの本文、入門手引きに最適) http://www.hinsyu.maff.go.jp/pvr/pamphlet/120726seido.pdf
④登録品種は適正にとりあつかいましょう(パンフ)http://www.hinsyu.maff.go.jp/pvr/pamphlet/080819tekiseiriyou.pdf
⑤(有)ジョルディカワムラ http://www.giardino-k.com/

 

※ 栃木県農政部の情報は、「とちぎファーマーズチャレンジネット(http://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/)」や「栃木県農政部ツイッター(http://twitter.com/tochigi_nousei)」でも発信していますので、是非、ご利用ください。

繁殖台帳Webシステムの活用について

【はじめに】

 酪農家の皆さんはご存じのことと思いますが、牛群検定とは酪農家の飼養する乳牛の個体ごとの泌乳能力、飼養管理状況を正確に把握することより飼養管理の改善や乳牛の改良を進め、酪農経営の生産性の向上を図ることを目的として昭和50年から始まったとても歴史ある取組です。

 現在、県内乳牛の約47%にあたる18,000頭、酪農家の約40%にあたる366戸が牛群検定に参加しています。

  図-1に乳用牛の乳量等の推移を掲載しました。

 牛群検定農家と県全体の乳量(平成22年実績)には1,500㎏の差があり、牛群検定の取組が乳牛の生産性を上げるのにいかに有効かがお判りになるかと思います。

 このように、100頭以上の規模拡大を目指す経営体にとって、牛群検定は必須の取組であることは言うまでもありません。

県内乳牛の泌乳生成期の推移 

【繁殖台帳Webシステムとは?】

 今回は牛群検定を核として、その機能のひとつである繁殖を中心に牛群管理のシステム化を行う繁殖台帳Webシステムをご紹介します。

   本システムは自宅のパソコンや携帯電話を使ったインターネットを介してリアルタイムに牛群検定データを利用できる画期的なシステムです。繁殖台帳Webシステムの特徴は以下のとおりです。

(1) データ操作の簡易性

 繁殖台帳Webシステムは、牛群検定の結果をインターネットで送受信することを基本としています。

 面倒なデータ入力を行わずに検定データを呼び出して、パソコン画面や携帯電話から見ることが出来ます。

 また、本システムの特徴的な機能画面の一つに繁殖カレンダーがあります。

 検定成績表から自動的に授精日や分娩予定日など必要なデータを読み込み、牛の繁殖関連のスケジュール管理を行うことが出来ます。メモ機能もありますので、牛舎作業を調整して行事を書き込むなど、野帳としての活用も可能です。

(2) データ共有化で指導力アップ

 繁殖台帳Webシステムは牛群検定成績を活用したシステムですので、これまでどおり検定指導員が検定指導等に利用することが出来ます。

 インターネットですので、遠隔地の指導員が酪農家の皆さんと同一の画面を見ながら電話で指導を行うことも可能です。

検定成績の検討表

 (3) 即時データ入力で利便性アップ

 酪農家の皆さんが、乾乳日や授精日等のデータを牛舎にいながらにして即時に携帯電話で入力することも可能です。

(4) 地域データベースとしての活用

 応用的な取組としては、牛群検定のデータ収集に協力いただける獣医師や授精師等とデータを共有することにより、地域データベースとしての活用も可能です。もちろん関係者の合意が前提です。

【最後に】

  基本的な繁殖台帳Webシステムの内容を説明させていただきましたが、この他にも色々な機能や活用法があります。

 酪農家の皆さんが繁殖台帳Webシステムを通して、牛群検定成績を効果的に活用することで、生乳品質の向上や低コスト生産を図り、酪農経営の発展に資することを期待しております。

 繁殖台帳Webシステムの簡単操作については、(社)家畜改良事業団ホームページでプロモーションビデオ(動画)を公開中です。添付したリーフレットとともにご覧下さい。

・繁殖台帳Webシステムの紹介リーフレット(PDFファイル)
      http://liaj.lin.gr.jp/japanese/kentei/hansyokudaicho_Web.pdf

 牛群検定組合の参加や繁殖台帳Webの導入については、最寄りの牛群検定組合や酪農協にご相談ください。

【問い合わせ先】
栃木県農政部畜産振興課生産流通担当
電話:028-623-2347
メール:chikusan@pref.tochigi.lg.jp
または、最寄の農業振興事務所までお問い合わせください。

※ 栃木県農政部の情報は、「とちぎファーマーズチャレンジネット(http://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/)」や「栃木県農政部ツイッター(http://twitter.com/tochigi_nousei)」でも発信していますので、是非、ご利用ください。

いちご王国とちぎを担ういちご作り

  栃木県内のいちご生産者の平均単収は10aあたり4.5t程度ですが、中には7~8tの収量を上げる生産者もおり、全農栃木県本部及び、(一社)とちぎ農産物マーケティング協会が主催する「いちご王国グランプリ」で上位入賞をされています。

 

   収量性が高い生産者の事例を見ると、必ずしも特別な技術を導入しているというわけではなく、「土作り、育苗、病害虫の防除等」の基本管理を、日々徹底して取り組んでいるという方がほとんどです。

  一方で、近年は夏秋期の高温や、冬期の天候不順などの気象条件により、作柄が思わしくないケースもよく見られます。そのような状況においても、いちごグランプリの受賞者達は、基本管理を怠らず気象条件等が作柄へ与える影響を最小限に抑え、着実な収量性のアップを図っています。

  今回は、これから到来する本格的な低温期の管理を再確認して頂くとともに、いちごグランプリ受賞者達の管理の一部をご紹介します。生産者の皆さんも再度各項目について、自分の栽培管理が徹底されているかチェックして頂ければと思います。

 

(低温期の管理) 

  1.  温度管理

① 収穫期は日中のハウス内温度を25℃、夜間は8~10℃を保つことができるよう、常に換気量の調整に気を遣い、また暖房機の調整・整備を行います。
 
 ②天候によっては日中のハウス内の温度が急激に上昇することがあります。特に急激な温度、湿度の上昇は、チップバーンやがく焼けの発生、果実の傷み、みつばちの減少を招き、いずれも収量減に直結します。そのため十分にハウスの温度に注意を払い、喚起を調節します。
 
  ③換気は、内側のすそビニールを外側より高くするなど、冷たい外気が直接いちごにあたらないように工夫します。
 
 ④いちごは、地温が18~15℃の条件が生育適温であり、13℃が最低限界温度とされています。かん水により地温が下がることが無いよう、かん水は晴天の日の午前中に行うようにします。

 

2 草勢管理

 ①わき芽やランナー、古葉、収穫が終了した果房は早めにかき取るよう心掛け、株の負担を軽減し、病害虫が多発しにくい環境作りに努めます。また、かき取りにより空間にゆとりができ、光線がマルチに当たる量が増えるので、地温の確保に繋がります。

 ②冬場の日照量を出来るだけ確保するため、ハウスサイドや内張り、肩の巻き上げ量を増やすなど、出来るだけ日に当てる工夫をします。

 

 
3 病害の防除

①冬場は低温と多湿条件により、灰色かび病、うどんこ病等の発生・増加が懸念されます。そのため先に記述した温度管理やかん水方法に十分に注意して、低温・多湿条件にしなよう努めます。また、日照不足や雨・雪が続く場合は、病害発生前から適用薬剤の予防散布を行い、発生を未然に防ぐようにします。

②薬剤散布によりハウス内の湿度が上昇し、かえって病害の発生を誘発することがあります。そのため一部の生産者ではボトキラー水和剤のダクト内投入、くん煙剤による防除など、散布以外の防除方積極的に取り入れています。

 
 
 
 
 
 
   これらの手法を取り入れることで、IPMにつながる防除体系となり、結果的に化学農薬散布の使用を減らすことも可能です。

 

【問合せ先】
経営技術課技術指導班 電話028-623-2322 メール
agriinfo@pref.tochigi.lg.jp

第2回水田経営とちぎモデル・実践セミナーの講演内容の紹介

 平成24年8月に開催した、第2回の水田経営とちぎモデル・実践セミナーの講演の一部をご紹介します。

 講師は、農山村経済研究所長の楠本雅弘氏。「とちぎ農業ビジネススクール」でもおなじみの先生です。

 以下、講演の概要です。
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《経営管理の基本ポイント》

◇ 今後の経営管理のポイントは金=財務の管理。経営規模や販売額の大きさで評価するのは古い発想。損益計算書だけを見ていても進まない。

◇ 経営状況は経営面積ではなく10a当たりの利益で比較すること。固定費が高いのが、土地利用型農業の特徴であり、固定費の割合を下げていかないと経営は発展しない。

◇ 20~30haへの規模拡大はコストを下げ、経営維持できるという考えもあるが、10haからの設備投資が大変。大規模化をめざすなら、その点をどうするか、将来設計をしっかり立てること。

第2回セミナーの様子
《規模拡大をめざすために必要なこと》

◇ 規模拡大を進めるには、自己資金・負債・固定資産・運営資金などの「資金管理」が最重要ポイント。

◇ 安定的に規模拡大してくためのポイントは

 ① 賃借対照表の中味の検討を行い、毎月経営状態の確認など経営管理を徹底する。
 ② 家計と経営を分離し経営に必要な資金を家庭で使い込まない(どんぶり勘定は厳禁)。
 ③ 減価償却費を必ず積み立てる。減価償却費を積み立てておけば、継続的な機械・施設更新が可能(別に口座を作り、隔離して管理する)。
 ④ 利益を内部保留し、その分を規模拡大の資金とすること。絶対に借金で拡大しない。

◇ 全国的には、50ha、70ha規模でも地代の支払いや農地の買取り負担で、経営が立ち行かなくなるケースもみられる。特に、農地の買取りには注意が必要。
 
◇ 農地は買わず『借りる』のが基本。機械は投下した資本を減価償却することで回収できるが、農地は償却できず、使ったお金の回収が不可能となる。

 講演後には、規模拡大のポイントとなる農地の管理に関する質問が多数出ました。

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 講演内容や質疑の詳細については、こちらの講演要旨をご覧ください。
       ↓
 第2回実践セミナー講演要旨(PDFファイル)

 平成24年度は、「土地利用型経営における経営管理のポイント」等をテーマに、2回の実践セミナーを開催し、のべ約500名の方に参加をいただきました。
 
 今後、さらに各地域で1~2回のセミナー開催を予定していますので、是非ご参加ください。

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【お問い合わせ先】

  栃木県農政部生産振興課                                        
    TEL:028-623-2279  FAX:028-623-2335          
    ホームページ   http://www.pref.tochigi.lg.jp/g05/index.html
    メールアドレス  seisan-sinko@pref.tochigi.lg.jp
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※ 栃木県農政部の情報は、「とちぎファーマーズチャレンジネット(http://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/)」や「栃木県農政部ツイッター(http://twitter.com/tochigi_nousei)」でも発信していますので、是非、ご利用ください。