「芝焼き」に代わる病害虫の防除方法について

◆はじめに

 一般的に「芝焼き」といわれる農道やあぜ等の枯れ草焼きは、冬の農村風景の一つとして昔から知られています。

 芝焼きは、越冬病害虫の防除を目的として行われるもので、県内においても、水稲の縞葉枯病や黄萎病を媒介する、ヒメトビウンカやツマグロヨコバイを防除するために、冬季に水田のあぜ等で芝焼きが行われてきました。

ヒメトビウンカ

 

 

 

 

 

 

 しかしながら、ウンカ類幼虫の越冬前密度は年によって変動しており、芝焼き実施の有無との間に関連性がみられません。そのため、現状では、芝焼きによる病害虫防除効果は判然としていません。

 加えて、芝焼きが原因と考えられる火事や死亡事故が、毎年数件発生しており、周辺住民からの苦情も寄せられています。さらに、平成23年3月以降は、東日本大震災による原発事故の影響もあり、飛散した放射性物質への懸念の声も聞かれます。

 

◆ 芝焼きに代わる病害虫防除法とは

 芝焼き以外の方法で、ヒメトビウンカ等の害虫を防除するためには、次の3つの方法を組み合わせて防除することが有効です。

①  縞葉枯病に抵抗性を持つ水稲品種を作付する

 
1980年代までは、縞葉枯病は県内における最重要病害の一つでしたが、「月の光」や「星の光」等の抵抗性品種を作付したことにより、1990年代には発生が少なくなりました(図)。

 しかし、最近では、県中南部を中心としてヒメトビウンカの保毒虫率や縞葉枯病の発生が増えています。その主な原因としては、近年コシヒカリ等の抵抗性を持たない品種の作付が増加したためと考えられます。 

図

 そこで登場するのが、「とちぎの星」です。

 「とちぎの星」は、栃木県農業試験場が育成した水稲の新しい品種で、縞葉枯病に抵抗性をもつとともに夏の高温に強く、食味も優れています

 県では、県中南部を中心に作付推進を図っており、平成24年度は県内の水田41.2haで作付されました。さらに、平成25年度は200ha、平成26年度には1,000haの作付拡大を計画しています。

 縞葉枯病害の発生が増えている県中南部では、「とちぎの星」を導入するようにしてください。

② 水田を適切に管理し、病害虫の発生を抑える

 ヒメトビウンカは、縞葉枯病を発病している再生稲株(ひこばえ)から吸汁することで、縞葉枯病ウイルスを取り込み保毒します。

 そのため、水稲の収穫後には速やかに秋耕を行い、ひこばえを土の中に埋め込むことでヒメトビウンカがウイルスを保毒することを防ぎましょう

 また、ヒメトビウンカが水田に入ることを防ぐことも重要です。

 畦畔等の雑草は、ヒメトビウンカ等の害虫を誘い込み、増殖や越冬の場所となるほか、ほ場で薬剤散布した時の避難場所となり得るため、夏から秋にかけて草刈りや除草剤の散布を行うことで、ほ場への病害虫の侵入を抑えましょう。

③  薬剤防除により害虫の発生を減らす

 水稲の育苗時に、ヒメトビウンカやツマグロヨコバイに適用のある箱施用剤を使用して、発生を減らしましょう。

 ただし、薬剤が効かないヒメトビウンカの発生が増えているため、縞葉枯病保毒虫率が高い地域(県中南部)においては、基本的に「とちぎの星」等の抵抗性品種を作付けをすることが最善です。

  さらに、縞葉枯病の発生が多い地域では、ヒメトビウンカの発生タイミングに合わせて、早植で6月下旬、普通植で7月上旬に本田での防除を行うと効果的です。

 ◆終わりに

 以上のように、「芝焼き」に代わるヒメトビウンカ等の防除方法には、様々なものがあります。

 縞葉枯病や黄萎病は多発すると、収量等に大きな影響を及ぼしますので、ここで紹介したような防除技術を組み合わせて、水稲のヒメトビウンカ等の適切な防除を行い、縞葉枯病等の発生を抑えましょう。

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