6次産業化の基本その2~加工技術の習得

  原材料となる農産物を、外部の食品企業に委託するのではなく、自ら加工する方式で6次産業化に取り組む農業経営者には、加工するための技術を習得するために、技術を持つ民間企業、農業法人などで研修を行った上で取組を開始している場合が多い状況です。

加工技術を研修等により取得して事業開始した県内の事例

【事例1 チーズの加工】自家製牛乳を使ったチーズ
 〈酪農とフレッシュチーズの加工・販売に取り組んでいるAさん〉
 チーズ加工技術を持つ北海道の生産者グループの施設で約2ヶ月の研修を行い、さらに1年以上独自の試作を重ねた上で、加工施設を導入

【事例2 ジェラート製造・販売】
 〈道の駅でジェラートの加工販売を行うBさん〉
 開店準備と並行して、専門家に指導を要請、徹底的に原料や甘味料の調合方法などを学んジェラートでから事業開始

 〈道の駅でジェラートの加工販売を行うCさん〉
 自ら東京の人気ジェラート店に弟子入りして製造から販売方法までを修業

【事例3 ハムの製造販売】
 〈養豚と自家製ハムの製造販売を行っている農業法人のDさん〉
 県外の民間企業でハム製造技術を研修して習得

【事例4 農村レストラン(そば)】
 〈加工組合Eのメンバー〉
 そば打ち職人から直接打ち方の指導を受け、関係者全員が同じ品質のそばを打てる技術を習得。現在でも定期的に研修を実施

 このように、実践に至る前に、先達の農業法人や技術を持つ企業等を自分で探しだしたうえで、研修や修業を行う等、加工技術の習得に相当の努力をしていることが分かります。

「目指す商品」をつくるのに適した技術の習得

 6次産業化の商品は、図にあるとおり、一般的には食品企業が大量生産する商品よりも価格が高くなりがちです。イメージ図(6次産業化商品の位置づけ)
 
  しかしながら、「普段食べていない美味しいものを食べたい」「産地や特徴を活かした、オンリーワン商品を味わってみたい」などのニーズが、必ず一定程度は存在します。
 
 6次産業化商品のターゲットは、これらの「こだわり商品」「ホンモノ志向」「ワンランク上の味」などを求める消費者であると考えられます。

 価格が高くても「どうしてもこれが欲しい」と思ってもらうためには、確かな加工技術、他にはあまり販売されていない商品をつくり、さらに、そのこだわりを、商品パッケージや販売する場面で、しっかりと訴求していくことが重要です。

 このように、「自分は、どんな客層に、どういう場面に食べてもらうものを、どんな販売方法で売っていくか」を明確にしつつ、それを実現するために必要な技術を習得していくということが必要となります。

 先ほど上げた事例について、それぞれの関係者に実際にお話を伺ってみましたが、「日本ではあまり作られていない商品をつくって、味の分かる人たちに買ってもらいたい」「採れたてですぐに加工することで、他とは待った濃くとなる味になることを追求して勝負したいので、それに適した技術を探した」など、自分たちの勝負するポイントや差別化戦略を明確に持っていました。

 「簡単にできそうだから」「設備投資があまり必要なさそうだから」という理由だけでは、6次産業化商品を買ってくれるお客を振り向かせるのは難しく、事業を成功させるには、始める前に、目指す分野のマーケティング・リサーチを充分に行い、自らの戦略を明確にし、そこから逆算して、必要な技術習得に取り組むという姿勢が重要となります。


〔参考 全国の成功している農業法人の発展経過など〕

 日本農業法人協会ホームページ 「農業法人インタビュー調査」(H12~16)
 http://hojin.or.jp/standard/report_exhibition/interview.html
 全国30法人がどのように経営発展を遂げたか、加工や販売に取り組む事例も交えて紹介
 ※PDFファイルは164頁ありますので、印刷にはご注意下さい。 


【参考 6次産業化関連のこれまでの記事】

2013年2月8日
 6次産業化商品の魅力をテストマーケティングで引き出してみませんか!
 
https://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/member/2013/02/08/1297.html

2013年1月9日
 6次産業化の基本~マーケティング・リサーチについて
  https://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/member/2013/01/09/1020.html

2012年12月12日
 「とちぎ食と農の展示・商談会2013」の開催について
 https://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/member/2012/12/11/705.html

2012年12月4日
 6次産業化に踏み出すには〈土地利用型農業での取組事例を参考に〉
 
https://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/member/2012/12/04/541.html

2012年11月6日
 重点戦略D「農業を起点とした“フードバレーとちぎ”の推進」を紹介します
 https://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/member/2012/11/06/213.html

 

重点戦略D「農業を起点とした“フードバレーとちぎ”の推進」を紹介します

 自分で生産した農産物を加工して販売することは出来ないだろうか?
 自分の農産物を使って、食品企業と共同で新しい商品を開発できるのではないか?
 もしかしたら、誰しも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

 本県は、多彩な農産物が生産されており、食品関連企業も数多く立地しています。

 また、世界遺産をはじめ、豊かな自然や文化、東京からのアクセスの良さなどを背景に観光客も多く、特色ある農産物を活かし、新たな商品やサービスの開発に向けた多くの強みを持っています。

 一方、原油価格の高騰による燃料や農業資材の価格上昇、人口減少や高齢化による食料消費量の減少、デフレによる農産物価格の低迷など、農業を巡る環境は厳しい情勢です。
 

 このような中で、所得を高めていくためには、規模拡大や高品質化などを追求していくことも方策のひとつですが、他にも、食品事業者等と連携して農産物の付加価値を高める「農商工連携」や自ら農産物の加工や販売を行う「農業の6次産業化」も有効な方策のひとつです
 
 とちぎ農業成長プランの重点戦略Dに掲げる「農業を起点とした“フードバレーとちぎ”の推進」は、農業と商業者等との連携や農業の6次産業化によって、農業の高付加価値化を推進する施策です。

 国のデータによると、国内の農林水産業の生産額は約12兆円(うち国内約9兆円)、飲食料の最終消費額は約74兆円と、金額で比較すると付加価値は約7倍になりますが、多くは、付加価値の多くは流通や加工、サービスなどの分野に流れていることが分かります。

 この「付加価値」を農業側で獲得していくことを目指して、重点戦略Dの取組方策に2つの取組方策を掲げています。

 ひとつは、食品企業等と連携して特色ある商品を開発し、獲得した付加価値を相互に配分する関係(ウィンウィン)の構築を目指し「バリューチェーンの構築による農産物の利用拡大(いわゆる農商工連携の取組)」、二つ目は、農業生産に加え加工、販売に取り組み付加価値を獲得していく「農業者の加工・販売への取組促進による収益力の向上(いわゆる6次産業化の取組)」です。

 具体的な施策としては、各地域の農業団体、商工団体の連携の促進や、グループ別・テーマ別による商品開発等の検討の場づくり、6次産業化を目指す農業者への専門家と連携した相談活動の実施、補助事業による調査、研究、試作加工等への支援、販路拡大のための商談会への出展支援や分かりやすく商品の特徴を伝える「FCPシート」の作成支援などに取り組んでいるところです。

 栃木県の現状としては、様々な取組が始まりつつあるものの、全国的な傾向と比較すると、農商工連携、6次産業化ともに取組が少ない状況にあり、今後、農政部としても取組の裾野を拡げるとともに、モデルとなる実践的な取組の支援に力を入れていきたいと考えています。

 今後、本ブログで6次産業化や農商工連携など、個別に掘り下げて掲載していきたいと考えていますのでよろしくお願いします。

【参考となる情報が掲載されているHP】

◆農政課HP 農業を起点としたフードバレーとちぎの推進
  http://www.pref.tochigi.lg.jp/g01/work/05rokuji.html

◆農林水産省HP 農山漁村の6次産業化
  http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika.html

◆経済産業省HP 農商工連携
 http://www.meti.go.jp/policy/local_economy/nipponsaikoh/nipponsaikohnoushoukou.htm

◆独立行政法人中小企業基盤整備機構HP  中小企業ビジネス支援サイト
 http://j-net21.smrj.go.jp/expand/shigen/index.html

【問い合わせ先】
栃木県農政部農政課農政戦略推進室
電話:028-623-2284
メール:agrinet@pref.tochigi.lg.jp
または、最寄の農業振興事務所までお問い合わせください。

※ 栃木県農政部の情報は、「とちぎファーマーズチャレンジネット(http://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/)」や「栃木県農政部ツイッター(http://twitter.com/tochigi_nousei)」でも発信していますので、是非、ご利用ください。