25年産水稲で確実に実施したい病害虫対策(その2)~「雑草イネ」の撲滅対策~

 今回は「25年産水稲で確実に対策を実施したい課題(その2)」として雑草イネの現状及び課題と、その対策をご紹介します。

1 “最強の水田雑草”『雑草イネ』の発生を確認
   平成24年8~9月にかけて、県内3地域で雑草イネの特徴を持つイネ(以下雑草イネ)が見つかりました。
   雑草イネは、これまで岡山県や長野県で発生が多く報告されています。しかし、中央農業総合研究センター(以下、中央農研)によると、程度の大小はあるものの関東甲信全県で発生が確認され、その地域は増える傾向にあるようです。

  「雑草イネ?時々見かける雑穂のことか?」と思われるかもしれません。

   『雑草イネ』とは、雑草性と呼ばれる特徴を持つさまざまなイネの総称で、長野県では古くから「トウコン」と呼ばれていました。
 
 雑草イネのルーツは様々で、
    ①  どこかで作っていたインディカの糯品種から分離した個体が増殖した。
    ② 栽培種から分離した個体が増殖した。
    ③ 昔からその地域で栽培されている赤米から分離した個体が増殖した。
 などが考えられていますが、正確なところは今のところ分かっていません。

 

   現在、多くの異なるタイプが確認されていますが、その特徴で最もやっかいなこととして次の2つがあります。


出穂後2週間後から脱粒し、成熟期頃には大半が脱粒してしまう(図1)


玄米に色がついているので、穂に残っていたものが収穫米に混じると異品種混入として扱われ、品質低下の原因となる(写真2) 

  さらに、今のところ確認されているものは食用品種と草姿、出穂期、玄米色が異なっているものがほとんどですが、既に見分けが難しいものも見つかっています。

 

2 本県で確認されている「雑草イネ」のタイプ
 
  本県では、玄米は赤色で、出穂期はコシヒカリと同等から遅く、稈長はコシヒカリと同等から長い個体が確認されました(写真2)

 

 また、中央農研の解析結果により、出穂がコシヒカリと類似し、ふ先色が赤、芒が長く、玄米は赤色の「Aタイプ」と呼ばれる雑草イネに分類されると判断されましたが(写真3)、既知のタイプに識別できない個体も多く存在しました。

 

3 「雑草イネ」蔓延防止に向けた対策
 拡大を防ぐには、見つけたら蔓延する前に次の対策を徹底し、初期に封じ込めてしまうことが重要です。

① 発見したら株ごと抜く。抜いた株はほ場外に持ち出して処分する。
 ・出穂期前後に注意してほ場を観察し、植えた稲と草姿がどこか異なるイネを見つけたら要注意
 ・怪しいイネを見つけたら穂を触ってみる。ぼろぼろと脱粒するようなら雑草イネである可能性が極めて高い
 ・特に、昨年の農産物検査で写真3のような赤米が混ざっていると指摘された場合は、細心の注意を払ってほ場を観察する

② 発生を確認したほ場の機械作業は最後に行うとともに終了後は良く洗って、機械による拡散を防ぐ。

③ 発生が確認できたほ場は、秋耕せずに雑草イネの籾を鳥に食べさせ、さらに冬の寒さにさらして死滅させる。

④ 効果的な初期除草剤(プレチラクロール、ブタクロール、シメトリン、テニルクロール、インダノファン)を使用時期(範囲)の最も早い時期に使い、その後、イネ科雑草に強い除草剤で体系防除を行う(表1)。

 雑草イネは、見過ごしているとあっという間に増え、地域全体に拡散していく危険性があります。自分のほ場に植えた品種と異なるものが生えていたり、収穫した玄米に赤やオレンジ色の玄米が混ざっていたら、農業振興事務所や農協に相談してください。

 

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